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NY原油7日:米原油在庫の増加が嫌気され、反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油11月限 前日比0.72ドル安

始値 49.00ドル

高値 49.71ドル

安値 47.75ドル

終値 47.81ドル

米国内原油在庫の増加を受けて、反落した。

アジア・欧州タイムは前日の堅調地合を引き継ぎ、買い優勢の展開になった。高値は49.71ドルに達し、50ドル台回復も視界に入り始めていた。しかし、米エネルギー情報局(EIA)の週報で米国内在庫の積み上がりが報告されると買い玉整理の動きが広がり、一気にマイナス圏に沈んでいる。米国内需給の緩和状態が再確認されたことが、短期筋に利食い売りを誘った模様。

EIA発表の原油在庫(10月2日時点)は、前週比+307.3万バレルの4億6,099.7万バレルとなった。米産油糧が前週の日量909.6万バレルから917.2万バレルまで増加する一方、製油所向け原油需要が季節トレンドに沿った形で落ち込む中、米国内需給に対する緩和圧力が一段と強くなっていることが確認できる。米原油在庫は前年同期を1億バレル前後上回った状態が続いており、改めて需給緩和状態がクローズアップされたことが、50ドルの節目回復を前に利食い売りを誘った模様。

引き続き米産油環境に対する注目度が高く、急落リスクは限定されている。40ドル台でもシェールオイルに対する生産調整の動きが強まることが確認される中、下値を大きく切り下げる必要性は薄れている。ただ、需給リバランスはまだ初期段階であり、50ドル台回復から一段高となればシェールオイルの増産圧力が再開されるのは必至であることを考慮すれば、反発余地は大きくないだろう。短期トレンドは上向きになっているが、価格上昇の手掛かりとなっている米産油環境の悪化は、あくまでも原油価格の急落に刺激を受けた動きであることを再確認したい。レンジブレイクがあれば瞬間的に大きく動く可能性が高いが、その際は戻り売りが検討対象になる。なお、原油相場が大きな上昇トレンドを形成する必要性は見出せない。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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