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NY原油6日:シェールオイルの減産確認で、大幅続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油11月限 前日比2.27ドル高

始値 46.20ドル

高値 48.63ドル

安値 45.73ドル

終値 48.53ドル

引き続きシェールオイルの減産圧力に対する警戒感が強く、大幅続伸になった。

アジア・欧州タイムは16ドル台前半を中心に揉み合う展開になったが、ニューヨークタイム入りしてから一気に値位置を切り上げている。10月2日発表の統計で米石油リグ稼動数が今年の最低を更新していたことが確認されているが、米エネルギー情報局(EIA)が9月の米産油量が前月から日量12万バレル減少したこと、2015年の産油量見通しが前月の940万バレルから920万バレルまで大幅に引き下げられたことなどが材料視されている。EIAは16年の産油量見通しも前月の900万バレルから890万バレルまで下方修正しており、シェールオイル生産環境が厳しさを増していることが再確認されている。価格見通しは15年、16年ともに前月から据え置いたが、需給リバランスの進展期待が、原油価格をサポートしている。

石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルのファンブールデン最高経営責任者(CEO)が原油価格低迷局面でも配当を継続できる経営環境への移行方針を示す一方で、米国の産油量が減少していることが将来的な原油価格上昇の兆候との見方を示したこともポジティブ。

引き続き米産油環境に対する注目度が高く、14日に発表される統計で米国内での減産圧力が再確認されれば、50ドル台回復に向かう可能性が高まる。ただ、需給リバランスはまだ初期段階であり、50ドル台回復から一段高となればシェールオイルの増産圧力が再開されるのは必至であることを考慮すれば、反発余地は大きくないだろう。短期トレンドは上向きになっているが、価格上昇の手掛かりとなっている米産油環境の悪化は、あくまでも原油価格の急落に刺激を受けた動きであることを再確認したい。レンジブレイクがあれば瞬間的に大きく動く可能性が高いが、その際は戻り売りが検討対象になる。なお、原油相場が大きな上昇トレンドを形成する必要性は見出せない。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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