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NY金5日:小幅続伸、雇用統計ショックの影響続くも決め手難

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NY金5日:小幅続伸、雇用統計ショックの影響続くも決め手難

COMEX金12月限 前日比1.00ドル高

始値 1,137.00ドル

高値 1,141.60ドル

安値 1,129.60ドル

終値 1,137.60ドル

9月米雇用統計を受けて急伸した先週末の地合を引き継ぎ、小幅続伸した。

10月2日に発表された9月米雇用統計では、非農業部門就業者数が市場予測+20.1万人に対して+14.2万人に留まるなど、サプライズ的に悪い数値になった。これを受けてマーケットでは10月利上げの可能性はほぼ消滅し、更には年内利上げにも不透明感が強まったとの評価が優勢に。特に、9月下旬以降は複数の当局者から年内利上げ見落としを再確認するのみならず、10月利上げの可能性にも言及する声が聞かれていただけに、そのショックは大きかった。

もっとも、金相場に関しては雇用統計発表前に大きく売られていた訳ではなく、ショートカバーを入れるような動きは限定されている。売られ過ぎ感が強かった銀相場は本日も急伸しているが、金相場に関しては欧州タイムにドルの反発と連動して戻り売り圧力が強まるなど、明確な方向性を打ち出せていない。金上場投資信託(ETF)も雇用統計悪化に目立った反応を示していない。

利上げ先送り期待からリスク投資環境の地合が引き締まる中、敢えて金相場を買い進む必要性はないとの視点もあるようだ。株式相場が短期リバウンド局面を迎えており、こうした中で金相場も株価連動で急伸する必要性は乏しい。なお、当局者のハト派発言や米指標の悪化などがあれば瞬間的に急伸する可能性もあるが、米雇用統計に関しては急速に消化が進んでいるとみて良いだろう。

もっとも、改めて売り込むには利上げ着手の流れを再確認させるような動きが必要不可欠であり、当局者のタカ派発言、良好な米指標などが要求される。金相場の値下がり傾向は仕切り直しを迫られており、材料待ちの状況に。10月8日には9月に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の公表も控えているが、雇用統計発表前の議論とあって材料視されづらい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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