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NY原油25日:GDP統計が好感され、続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油10月限 前日比0.79ドル高

始値 45.05ドル

高値 46.38ドル

安値 44.86ドル

終値 45.70ドル

週末を控えて売りポジションを買い戻す動きが強く、続伸した。

アジアタイムは45ドルの節目を挟んで揉み合う展開になったが、欧米タイムに入ってから断続的に値位置を切り上げる展開になっている。基本的には週末を控えてのポジション調整に伴う値動きとみているが、特にニューヨークタイム入りしてからの上げ幅が大きくなっていることからは、4~6月期の米国内総生産(GDP)確定値が改定値の+3.7%から+3.9%まで上方改訂されたインパクトが大きかったことが窺える。ただ、本格的に上値を買い進むようなテーマ設定が難しい状況には変化がなく、最近のレンジ内での上昇圧力に留まっている。

上昇リスクとして警戒すべきは、4~6月期という過去のGDP統計よりも、米石油リグ稼動数が前週比-4基の640基と減少傾向を維持していることの方だろう。9月入りしてからは再びリグ稼動数の減少傾向が顕著になっており、約2ヶ月ぶりの低水準まで落ち込んでいる。7~8月にかけての原油相場急落を受けて、再びシェールオイル生産に大きなダメージが生じていることが窺える。この価格水準であれば、供給サイドから需給緩和を是正する動きが発生することは間違いない。

もっとも、なお国際需給バランスの供給過剰状態を解消するハードルが高いことを考慮すると、戻り売り基調そのものがピークアウトしたのかは慎重な判断が求められよう。イランの市場復帰を前提にしなくても、なお世界のいずれかの産油国が大規模な減産対応を求められる状況に変化はなく、少なくとも原油価格の大きな上昇は支持できない。2016年中に需給リバランスを実現するためには、断続的に原油価格を押し下げることで、シェールオイル生産にダメージを与えていくことが要求されている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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