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NY原油10日:反発、中国の7月原油輸入が過去最高を更新

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油9月限 前日比1.09ドル高

始値 43.58ドル

高値 45.00ドル

安値 43.35ドル

終値 44.96ドル

中国貿易統計で7月の原油輸入量が過去最高を更新したことが材料視され、反発した。米雇用統計発表後の為替相場がドル安方向に振れていることもポジティブとなり、一時は45.00ドルの節目を回復している。

中国の7月貿易統計によると、7月の同国原油輸入量は3,071万トンとなり、前月の2,949万トンを上回り過去最高を更新している。1~7月期通期では前年同期比+10.4%に達しており、中国経済の減速懸念が広がる中でも、中国が積極的に原油輸入を行っていたことが確認できる。他の資源需要動向を考慮すると、これは末端消費の拡大というよりも備蓄在庫積み増しの動きが影響した可能性も想定しておく必要がある。中国に関しては、更に追加景気対策期待も浮上しており、中国株・商品が全面高の展開になっていることもポジティブ。

一方、アルジェリアのハブリー・エネルギー相は、石油輸出国機構(OPEC)が緊急総会の開催を検討中であることを報告した。ただ、この件に関してはOPEC高官から12月の緊急総会前に臨時総会の開催は検討していないとしており、真偽は不明。

本日は中国要因で非鉄金属相場と同様に原油相場も急伸したが、一時的な調整高との理解で十分だろう。中国の原油輸入データは間違いなくポジティブだが、これによって国際需給の緩和見通しが大きく修正される訳ではなく、戻り圧力は限定される見通し。警戒すべきはドル安圧力の持続性の方となろう。

本日は1ドルを越える上昇幅を記録しているが、ダウントレンドにおける通常の調整局面との評価で十分と考えている。中国の需要見通しは上方修正を迫られることになるが、備蓄積み増しの動きを前提にしても、なお原油安誘導による需給リバランスの必要性は崩れない可能性が高い。1ヶ月以上にわたって急落する中、ドル安の持続性によっては50ドル近辺まで戻る可能性はある。ただ、原油高が進行すれば需給リバランスは実現しない以上、3月17日の年初来安値42.63ドル、更には40ドルの節目が打診する流れは維持される見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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