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NY金31日:米雇用指数を受けて反発、インフレ懸念が後退

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金8月限 前日比6.30ドル高

始値 1,087.80ドル

高値 1,102.50ドル

安値 1,079.10ドル

終値 1,094.70ドル

米インフレ懸念の後退を受けて、反発した。

アジア・欧州タイムは戻り売り優勢の展開となり、一時は7月24日以来の安値となる1,079.10ドルまで値位置を切り下げた。しかし、その後は4~6月期の米雇用指数を手掛かりにドル安連動で地合を引き締め、一気にプラス圏に転換している。1,100ドル台を維持するまでのエネルギーは見られなかったが、その後も1,095ドル水準を維持して引けている。

価格低下もアジアタイムの反発はみられず、なお現物需給要因から安値是正を進めるような動きはみられなかった。寧ろ中国現物市場では相場の先安感から手元在庫を手放すような動きも報告されており、価格低下が逆に需給緩和をもたらしている可能性さえ指摘されている。従来は価格が低下すれば現物買いが膨らんだが、それはあくまでも相場の先高感が存在した結果であることが再確認できる。

一方、本日の急伸のきっかけになったのは4~6月期雇用指数だった。賃金・給与に関しては前期比+0.7%となり、これは1982年の統計算出開始後の最低の伸び率に留まっている。この数値が意味することは、賃金の伸びが鈍いこと、更にはインフレ圧力はなお弱いことであり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手に対しては阻害要因になり得る。

もっとも、あくまでも4~6月期の数値であり、その後は雇用統計の週間賃金などで賃上げ圧力が確認されていることを考慮すれば、この統計を手掛かりに断続的に値上がり対応を迫られるような事態にはならないだろう。それ以上に警戒すべきは、普段であれば全く材料視されない雇用指数という統計が、ドル高と同時に金相場下落に対するブレーキ役として浮上したことだ。これは、未だに金相場下落のスピード調整の必要性を認識している向きが多く存在する可能性を示唆しており、日柄・値柄調整の必要性が完全に払拭されていない可能性がある。あくまでもスピード調整的な動きに留まり、ダウントレンドそのものが修正を迫られるリスクは限定されている。ただ、安値を売り急ぐ必要性は後退しており、戻りを試す場面があれば売り込む程度のスタンスで十分だろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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