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NY原油29日:続伸、米原油在庫の減少を好感

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油9月限 前日比0.81ドル高

始値 47.81ドル

高値 49.52ドル

安値 47.39ドル

終値 48.79ドル

米原油在庫の減少報告を手掛かりに、続伸した。

アジア・欧州タイムは、総じて戻り売り優勢の展開になった。前日の反発を受けて、売り遅れていた向きが戻り売りを仕掛けた模様。為替相場がドル高気味に推移したこともあり、じり安の展開になった。ただ、ニューヨークタイムに入ると米原油在庫が予想外の減少となったことを手掛かりに再びショートカバー(買い戻し)を進める動きが強まり、一気にプラス圏に切り返している。50ドルの節目を試すような動きまでは見られなかったが、前日に続いて売りポジション整理が優勢になっている。

米エネルギー情報局(EIA)によると、7月24日時点の全米原油在庫は前週比-420.3万バレルの4億5,968.2万バレルとなった。原油生産はほぼ横ばい推移になったが、なお製油所向け需要が強く、予想外の在庫取り崩しになっている。もっとも、原油在庫の逼迫化が警戒されるような状況にはなく、瞬間的な戻り圧力との評価で十分だろう。生産・輸入量が安定する中、季節要因に沿った形で需要が落ち込めば、再び在庫積み増し圧力が強まり易い。

米ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、サウジ情報筋の話として、同国が夏の需要期終了後に日量20万~30万バレルの減産を計画中と報じた。サウジがこれまで増産を進めてきた一因は季節的な需要拡大に対応したものであり、シーズンオフに向けて生産量を調整するとのロジックになる。ただ、この程度であれば、供給過剰状態に修正を迫ることはなく、原油相場の反応は限定的。

短期的な下げ過ぎ感が強い中、心理的にショートカバーが入り易くなっているが、引き続き戻り売り対応が基本になろう。需給緩和状態の解消目処が立たない一方、為替市場ではドル高傾向が強くなっており、今後は季節要因に基づく需要も失われることになる。3月17日の42.63ドルを見据えた相場展開が続く可能性が高い。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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