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NY金15日:イエレン証言を受けて続落、高まる利上げ警戒

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NY金15日:イエレン証言を受けて続落、高まる利上げ警戒

COMEX金8月限 前日比6.10ドル安

始値 1,153.90ドル

高値 1,155.80ドル

安値 1,141.90ドル

終値 1,147.40ドル

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を経て、改めて利上げ警戒が強くなったことが上値を圧迫し、続落した。

アジア・欧州タイムは1,155ドル水準で揉み合う展開になったが、イエレン議会証言後に急落している。同議長は、改めて年内利上げ着手の可能性が高いとの見方を示している。この辺は11日の講演内容と特に大きく変わっていないが、利上げ時期を早めることでその後の緩慢なペースでの利上げが可能と発言するなど、従来との比較ではやや利上げに前のめりになっていることが窺える状況になっている。これで9月利上げを確実視することはできないが、利上げを先送りし続けることで、将来の追加利上げペースが急がれるデメリットにも言及したことで、9月利上げの可能性も十分に想定できる状況にある。

サプライズとまでは言えないが、ギリシャや中国といった対外部門に不確実性がある中でも、FRBは着実に利上げプロセスを進める可能性が高いことが再確認されたことが、金価格の上昇期待を更に後退させている。安値は1,141.90ドルに達し、年初来安値1,141.60ドル更新も射程圏内に入っている。引けにかけてはドル高一服で下げ幅を縮小するも、1,150ドルの節目を回復するには至らなかった。

なお中国株の急落などに注意が必要だが、マーケットの関心がギリシャから米金融政策環境にシフトする中、金相場は売られ易い地合になっている。目先は経済指標や当局者の発言内容を確認しつつ、米金融政策の正常化プロセスを織り込む形で、下値探りの展開が続く見通し。年初来安値を更新できれば、昨年11月7日の1,130.40ドル割れからの新安値更新を目指す流れになる。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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