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NY金10日:小幅安、ユーロ圏首脳会合待ちでポジション調整中心

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金8月限 前日比1.30ドル安

始値 1,158.70ドル

高値 1,164.50ドル

安値 1,156.40ドル

終値 1,157.90ドル

週末にギリシャ債務問題を協議するユーロ圏首脳会合の開催を控える中、ポジション調整中心の小動きに終始した。

急落が続いていた中国株の切り返し傾向が強まる中、アジアタイムはショートカバー(買い戻し)優勢の展開になり、1,160ドル台前半での取引が目立った。しかし、欧米タイムに入ると戻り売り圧力も強まり、結果的に前日終値を挟んで上下動を繰り返す展開に留まっている。敢えて週末のイベント前に積極的に売買を仕掛ける必要はないと判断した向きが多かった模様であり、出来高は必ずしくも少なくないが、明確な方向性を打ち出せていない。

そのユーロ圏首脳会合であるが、今週末もギリシャ支援継続の最終判断は下されなかった。ユーロ圏側ではギリシャの財政再建策に強い不信感があり、ギリシャ議会が財政再建に関する法案を成立させることが、支援継続の条件としている。その期限として3日間の猶予を与えるとしており、7月15日までのギリシャ議会の対応で、ギリシャのユーロ圏離脱の有無が決定されることになる。

もっとも、週明けのアジアタイム早朝のドル・金相場は比較的冷静な反応に留まっており、特に一方にポジションを大きく傾けるような動きはみられず。なおギリシャ発の突発的なリスクオフイベントには注意が必要な状況にあり、グローバルマーケット全体が大きな動揺を見せれば、「安全資産」の観点から瞬間的に変われる可能性は残されている。しかし、少なくとも通貨市場はこの問題を深刻に捉えていないことが窺える状況にある。引き続き中国株の下げに完全に終止符を打てたのかも不透明感があるものの、このままギリシャ・中国要因に基づく相場のボラティリティが収束に向かうのであれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策正常化プロセスが金相場の上値を圧迫するフローは維持されよう。リスクオフでは他資産と同様に売られ、リスクオンでは利上げ警戒が上値を圧迫し、FRBの利上げを阻害するレベルの混乱状況に陥らない限り、金価格を取り巻く環境は厳しい状態が続く見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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