Yahoo!ニュース

NY原油23日:米週間需給統計の発表を控え、安値修正の動き

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比0.63ドル高

始値 60.21ドル

高値 61.42ドル

安値 59.55ドル

終値 61.01ドル

特に目新しい材料は見当たらなかったが、明日の米石油需給統計発表を前に、石油製品相場主導で反発した。

改めて米国内在庫の取り崩しが見られるとの警戒感が、原油相場をサポートしている。ドライブシーズン入りで製品需給にタイト感が見られる中、製油所稼働率が高止まりしていることが原油在庫の取り崩しを促し易い状況にある。その一方で、ガソリン在庫は良好な末端需要を背景に取り崩し傾向が続いており、在庫統計を受けて原油・ガソリンの双方に買いが膨らむリスクが警戒されている。

米原油在庫の水準を考慮すれば、多少の在庫減少でも大きな問題にはなりづらい。ただ、国際エネルギー機関(IEA)が6月月報でも指摘していたように、やや石油製品の方の供給が不安定化していることに注意が要求される。米ガソリン在庫は過去5年のレンジ上限付近に位置しているが、一部地域で供給トラブルが報告される中、製品主導の上昇リスクには注意が必要。IEAはこうした状況は解消に向かっているとの見方を示していたが、米国に限定するとなお若干の混乱状況が見受けられる。

国際原油需給に関しては緩和状態が続くとの評価が確立する中、米石油在庫の減少傾向という数少ないポジティブ材料を消化できれば、改めて下値切り下げ傾向が強まろう。「国際原油需給の緩和見通し」と「米原油在庫の減少傾向」の強弱材料について、前者を重視する動きがやや優勢になり始めている。ただ本格的な値下がりにはドル安傾向に歯止めが掛かることが必要不可欠であり、60ドル水準のボックスを下抜けできるのか否かは、ドル相場の動向に依存することになろう。本日はドル高にもかかわらず上昇しているが、このままドル高トレンドが確立されれば、原油相場の下値不安は拡大する方向となろう。

画像
マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

小菅努の最近の記事