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NY原油19日:反落、需給緩和見通しから戻り売り優勢

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比0.84ドル安

始値 60.50ドル

高値 60.56ドル

安値 58.88ドル

終値 59.61ドル

特に目新しい材料が見当たらない中、過剰供給環境の長期化観測から戻り売り優勢の展開に。

米国では原油在庫の取り崩しが進んでいるが、石油輸出国機構(OPEC)の大規模増産が進む中、国際需給の緩みは解消できないとの悲観的な見方が優勢になっている。特に何か需給見通しに大きな修正を迫るようなニュース材料などは見当たらないが、60ドル台から需給要因で更に買い上げるのは困難との見方が根強いことが再確認できる。

米ベーカー・ヒューズ社発表の石油リグ稼動数は前週比-4基の631基と減少傾向が続いている。これで27週連続の減少になるが、最近は余り材料視されない傾向にある。既にシェールオイルは緩やかなペースで生産調整の動きが始まっているが、今後は原油安への対応が進むことで、リグ数の減少にはブレーキが掛かるとの見方が支配的。

国際原油需給に関しては緩和状態が続くとの評価が確立する中、米原油在庫の減少傾向という数少ないポジティブ材料を消化できれば、改めて下値切り下げ傾向が強まろう。「国際原油需給の緩和見通し」と「米原油在庫の減少傾向」の強弱材料について、前者を重視する動きがやや優勢になり始めている。ただ本格的な値下がりにはドル安傾向に歯止めが掛かることが必要不可欠であり、60ドル水準のボックスを下抜けできるのか否かは、ドル相場の動向に依存することになろう。ドル高回帰が実現すれば50ドル割れも可能な相場環境とみている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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