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NY原油12日:OPEC増産で、需給緩和状態が続くとの懸念

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比0.81ドル安

始値 60.55ドル

高値 60.63ドル

安値 59.73ドル

終値 59.96ドル

特に目新しい材料は見当たらなかったが、国際需給の緩和状態が長期化するとの見方から続落した。

石油輸出国機構(OPEC)、国際エネルギー機関(IEA)の6月月報が相次いでOPECの大規模増産見通しを示したことが、原油需給緩和状態の長期化を招くとの警戒感を高めている。IEAは需要見通しを大幅に引き上げているが、現在のOPECの産油環境では需給バランスの歪みを解消するには至らないとの消極的な評価が優勢になっている。

WTI原油に関しては、米国内在庫の取り崩しが始まっていることが支援材料になるも、過剰供給環境を否定するのは困難との評価に傾きつつある。特にブレント原油の下げ幅が大きくなっているが、原油需給環境から買い進むのは困難との見方が優勢に。引けにかけては週末を控えての買い玉整理の動きも重なり、更に下げ幅を拡大する展開になった。

最近は、「国際需給の緩和見通し」で売られ、「米国内の在庫取り崩し観測」で買われる、不安定な値動きが続いている。ドル相場が方向性を欠いていることも、原油相場に対する戻り売り圧力を一服させている。もっとも、ドル高回帰、国際需給緩和の流れには変化がないと考えており、60ドル水準は売り場との評価を維持している。ドル反落リスクには注意が必要だが、このままドルが急落前の高値水準を回復すれば、50ドル台割れを試すことも十分に可能な相場環境と評価している。なお、米ベーカー・ヒューズ社発表の6月12日時点の米石油リグ稼動数は前週比-7基の635基と減少トレンドを維持した。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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