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NY金30日:ドル高・株高圧力を受けて、大幅続落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金4月限 前日比15.00ドル安

始値 1,183.50ドル

高値 1,198.50ドル

安値 1,181.60ドル

終値 1,184.80ドル

為替市場で改めてドル高圧力が強くなったことが嫌気され、大幅続落となった。

アジアタイムから戻り売り優勢の展開になっていたが、5ドル単位で断続的に買い方のストップロスを巻き込む形で下げ幅を拡大している。ニューヨークタイム入り後は1,185ドル水準で下げ一服となるも、戻り圧力は限定されており、本日の安値圏で引けている。株高、原油相場の反落もネガティブ。

為替市場では、改めてドル高圧力が強くなっている。米連邦公開市場委員会(FOMC)後は、早期利上げに慎重な見方が広がったことでドルの反落傾向が強くなっていたが、漸くドル高再開の兆候が見受けられる状況になっている。ギリシャ救済のための交渉が難航する中、対ユーロでも改めてドル高圧力が強くなっており、ドル建て金相場の上値は圧迫され易くなっている。

前日の引け後にはイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内に利上げが正当化されるとの見通しを示す一方、その後は慎重なアプローチが必要と指摘し、利上げ着手後も低金利状態が続く可能性を示唆した。これはフィッシャーFRB副議長と同内容の発言であり、議長も利上げ着手を既に前提条件として、その後の金利先高感を抑制する方向に舵を切り始めていることが窺える。ただ、マーケットは特に目立った反応を示さなかった。

本日は2月PCEコアデフレータが発表されているが、前年同月比では+1.4%となり、前月の+1.3%から上振れした。個人所得が前月比+0.4%と大きく伸びており、消費環境の改善がディスインフレ圧力を後退させている。依然として低インフレ環境には変化が見られないが、このままインフレ率の上昇見通しを高めていくことができれば、FRBに対する利上げプレッシャーは一段と強まることになるだろう。

地政学的リスクを改めて織り込むような動きもみられず、改めてドルとの相関が重視される地合になる見通し。まだFOMC前の水準は大きく下回っているが、ドル高トレンドに回帰できれば、金相場の上値の重さが再確認されよう。4月3日の米雇用統計の内容によっては、ポジション整理が進んだ弱気筋の売り攻勢が強まる可能性も十分にある。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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