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NY金25日:ドル安、米耐久財受注悪化で続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金4月限 前日比5.60ドル高

始値 1,192.50ドル

高値 1,199.30ドル

安値 1,186.10ドル

終値 1,197.00ドル

ドル安や米耐久財受注の悪化を受けて、続伸した。

アジアタイムはやや戻り売り優勢の展開となり、1,180ドル台後半を中心とした取引になった。しかし、欧米タイムに入ると改めて買い圧力が強まり、戻り高値を更新する展開になっている。1,200ドルの節目回復を目前にして上げ一服となるも、その後も1,190ドル台後半の値位置は維持している。

特に大きな材料はなかったが、引き続き米連邦公開市場委員会(FOMC)後の買い戻し圧力が優勢になっている。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手時期について不透明感が強まる中、売り急ぐ必要はないとの見方が支配的だった。為替市場でもドルの反落傾向が続いており、ドルの先高感を背景とした金売りポジションを維持する必要性が薄れている。特に本日は、2月の米耐久財受注が前月比-1.4%とマイナスに落ち込んだことが、金相場を強力にサポートした。市場予測は+0.2%となっており、利上げを後押しするような内容にはならなかった。

また、シカゴ連銀のエバンス総裁が、低インフレを理由に年内の利上げは危険との見方を示したことも、金相場に対してはポジティブ。もっとも、アトランタ連銀のロックハート総裁は9月までの利上げ開始に賛成票を投じる考えを示しており、当局者の意見は割れていることが確認できる。こうしたタカ派とハト派の意見が交錯する中では、FRBの利上げ着手は前進と後退を繰り返しながら消化されることになり、現在はその後退局面との理解になる。

引き続き為替相場次第の相場環境になるが、FOMC後の調整局面が続いている間は、当然に金相場に対しても安値是正圧力が強まり易くなる。ただ、最短で6月にも利上げが行われる可能性があるという基本環境はFOMC前後で何も変わっておらず、金価格のダウントレンドそのものが修正を迫られることはないだろう。イエレンFRB議長はマーケットが利上げ時期の特定を進めて織り込んでいくことを強く警戒しており、ドル相場高・金相場安の流れが一本調子に進むことはない。しかし、月末・月初の指標で米経済の底固さが再確認できれば、徐々にドル買い・金売りの動きが勢い付く見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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