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NY原油16日:年初来安値更新、在庫積み増しが更に進むとの見方

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油4月限 前日比0.96ドル安

始値 44.81ドル

高値 45.00ドル

安値 42.85ドル

終値 43.88ドル

引き続き過剰供給に対する懸念が強く、大幅続落となった。

為替市場ではドル高圧力が一服したが、過剰供給環境に対する懸念の声が根強く、アジアタイムから戻り売り優勢の展開に。一時は42.85ドルまで下値を切り下げ、直近安値43.58ドル(1月29日)も下抜いて年初来安値を更新した。引けにかけては短期的な目標達成感からショートカバー(買い戻し)が下値を支えるも、プラスサイドを回復するまでの勢いは見られなかった。

国際エネルギー機関(IEA)は13日に発表した月報で、原油相場急落によるシェールオイルの生産調整の動きが鈍いことで、米国では在庫保管能力の限界を試すまで在庫が増加するとの見方を示した。米石油リグ稼動数の減少と実際の産油量との間に乖離があることを指摘しており、今週の週間統計で在庫積み増し傾向が再確認されると、更に下押し圧力が強まる可能性がある。在庫が保管能力の限界に達すれば、在庫保管業者は市場価格を下回る価格でも売却せざるを得ず、少なくともWTI原油価格に対しては値下がりリスクが大きい需給環境が維持される見通し。

一方、石油輸出国機構(OPEC)は今後数ヶ月で、OPEC非加盟国の限界生産能力が明らかになるとの見方を示した。原油相場急落で石油会社の資本支出削減が進み、石油リグ稼動数の減少など生産調整の動きが強まる中、安値対応の限界が見えてくるとの見通しになる。中長期的な流れとしては、原油安による生産調整の動きが、改めて原油需給の均衡化を促すとの見方が支持されている。ただマーケットでは、こうした中期的な需給均衡化見通しよりも、IEAが示したような短期的な過剰在庫環境に対する警戒感が強く、戻り売り優勢の展開が維持されている。

引き続き、足元の潤沢な在庫環境が嫌気されており、50ドルの節目を挟んだボックス相場を完全に下放れしている。40ドル割れから更に大きく値崩れを起こすような地合とも考えていないが、この時期から原油相場が反発してしまうと、需給均衡化をもたらすのに十分な生産調整が進まず、今後の反発力が限定されてしまうことになる。中長期的にはボトム圏に近づいているのは間違いないが、短期スパンでは依然として戻り売り対応の方に魅力を感じる。特に急激なドル高傾向が続いている間は、地政学的環境に大きな変化などが生じない限り、本格反発は想定しづらい。チャートの形状も悪化する中、トレンドフォローの売りがどこまで膨らむのかに注目したい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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