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消費増税後も続いているガソリン価格の上昇

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

資源エネルギー庁が5月28日に発表した石油製品価格調査によると、5月26日時点でのレギュラーガソリン店頭小売価格(全国平均)は1リットル当りで前週比+0.2円の165.8円となった。これで5週連続の値上がりとなり、4月1日の消費増税後もガソリン価格の上昇傾向が続いていることが明確に確認できる状況にある。

ガソリン価格は、消費税率が従来の5%から8%まで引き上げられたことを受けて、3月24日時点の159.0円に対して4月1日時点では164.1円まで1週間で5.1円の急騰となった。しかし、その後も1)海外原油価格の上昇傾向が続いていること、2)為替相場の円高圧力が一服していることで原油調達コストの高止まり傾向が続いており、コスト転嫁の動きが末端ガソリン価格の値上がりを促す展開が維持されている。前年同期の151.7円からは、実に14.1円の値上がりとなる。

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■原油調達コストの値上がり続く

アジア市場の指標となるドバイ原油は、5月26日時点で1バレル=106.45ドルとなっており、前週の106.65ドルから大きな変化は見られない。東京商品取引所(TOCOM)の中東産原油先物相場(当限)も、1キロリットル=6万6,000~6万8,000円水準でのボックスとなっている。

ただ、値位置としては約3ヶ月ぶりの高値圏とあって、これまで消費増税の影響を見極めるために遅れがちになっていたコスト高を転嫁する動きが活発化している。ガソリン業者転売価格は、パージ物で前週の1キロリットル=13万7,000円から13万8,500円まで上昇しており、今年の最高値を更新する展開が続いている。

国内石油精製会社は、昨年こそ原油高に伴う在庫評価益が発生した影響で、石油精製事業での黒字計上が目立った。しかし、精製事業そのものでは十分な利益を出すことが難しくなっているため、精製マージンの確保・拡大のため、原油調達コストの増加分を吸収する余力がなくなっている。今後も原油価格の高止まり・上昇傾向が続くと、ガソリン小売価格も上昇し易い地合が続くことになるだろう。

必ずしもウクライナ情勢といった突発的な地政学的リスクだけで上昇している訳ではなく、需給の裏付けがある上昇圧力が発生していることが重要である。何らかの経済トラブルが発生しないのであれば、ウクライナ情勢の進展状況にかかわらず原油価格は強含みの展開が続く見通しである。

■夏場はじり高傾向が続く可能性大

北半球ではこれまでの不需要期を経て、いよいよドライブシーズンの行楽需要が本格化する時期に差し掛かっている。今後はガソリン生産拡大の動きと連動して製油所向け原油需要が回復し易く、主要先進国では在庫取り崩しの動きが予測されている。

例えば、米国の原油在庫は過去最高となる4億バレル水準を維持しているが、ドライブシーズン終了段階では5,000万バレル規模の在庫取り崩しが行われる可能性が高い。石油輸出国機構(OPEC)が十分な増産余力を残す中で、極度の需給逼迫状態に陥るリスクは限定されている。しかし、今後は需要サイドから国際原油需給に引き締め圧力が強まり易いことを考慮すれば、ガソリン価格の上昇傾向は維持されよう。

夏場に170円台が実現するのかは微妙な情勢であるが、特に円安などの支援がなくても、160円台後半は通常の価格水準として受け入れる必要があるだろう。今後もじり高傾向を前提に、ガソリンスタンドで給油するのは前倒し気味で行うのが妥当と考えている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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