Yahoo!ニュース

中国の大量買い付けに慌てる大豆相場

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

11月のシカゴ大豆先物相場は、9月中旬以来の高値を更新する展開になった。東京商品取引所(TOCOM)の米国産大豆相場に至っては、円安や海上運賃価格の高騰もあって、2008年9月以来の高値を更新している。

画像

11月28日の米国金融市場が感謝祭(Thanksgiving Day)の休場を迎えたことからも推測されるように、米穀倉地帯では既に米国産大豆の収穫作業はほぼ完全に終了している。昨年は半世紀ぶりとも言われる大規模な旱魃被害で記録的な不作年となったが、今年は夏場に若干の土壌水分不足が懸念されたことを除くと総じて理想的な生育環境が実現した結果、豊作環境を迎えている。

米農務省(USDA)の最新統計によると、13/14年度の米国産大豆生産高は32.58億Buが見込まれており、前年度の30.34億Buから7.4%もの増産が見込まれている。これは3年ぶり、かつ過去3番目の生産規模であり、本来であれば強力な現物供給圧力を背景に大豆相場は下落して然るべき相場環境とも言える。

穀物相場の世界では一般的に「ハーベスト・プレッシャー(Harvest Pressure)」と言われるが、この時期は農家が現金確保のために収穫直後の現物在庫を売却するために、短期需給の緩和圧力から大豆相場は下落し易い。

しかし、今年はこのタイミングで世界最大の大豆輸入国である中国が、米国産に対して異常とも言える大量買い付けを行っていることで、季節外れの上昇圧力に晒されている。中国からの成約量は、同国の需要見通しから考えても明らかに過剰である。ただ、毎週100万トン前後の高成約を継続しているだけに、どうしても米国産大豆相場は水準切り上げが促され易い。11月29日にも14/15年度積みで中国向けには11万トンの成約が報告されている。

もっとも、中国の大量成約に関しては、今後の調達リスクを警戒して早めに成約を先行させただけの可能性が高いと考えている。即ち、まだ南米産が確実な供給を行えるのかが分からないことで、とりあえずは豊作が確定した米国産大豆の調達契約を進めて、南米の生産トラブルに備えている模様だ。このため、今後は南米産の豊作見通しが確信に変わるのと連動して、徐々に中国からの引き合いは鈍化することになるだろう。11月25日には30万トンの成約キャンセルも行われており、ここから大豆相場が更に本格的に高騰する可能性は低いと考えている。

もちろん、南米で異常気象が発生すれば大豆供給環境は一変することになるが、今年度に関しては国内の大豆油や大豆製品の高騰シナリオとしては、シカゴ大豆相場の高騰よりも円安が更に進むリスクを警戒すべきだろう。

画像
マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

小菅努の最近の記事