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藤井竜王六冠挑戦か、佐藤九段意地見せるか――棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第2局展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
六冠挑戦まであと1勝としている藤井聡太竜王(筆者撮影)

 渡辺明棋王(38)=名人への挑戦権を争う第48期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社主催)は12月27日東京都渋谷区「将棋会館」で挑戦者決定二番勝負第2局、藤井聡太竜王(20)-佐藤天彦九段(34)の対局が行われる。

 棋王戦本戦は本戦ベスト4からは2敗失格制で、藤井竜王=王位・叡王・王将・棋聖は準決勝で佐藤九段に敗れたあと敗者復活戦で2勝し、挑戦者決定二番勝負(敗者復活組は連勝が必要)で再び佐藤九段と対決した。第1局を藤井竜王が勝ったため第2局の勝者が渡辺棋王への挑戦権を獲得する。

 藤井竜王にとっては年度内六冠、佐藤九段にとっては久々のタイトル挑戦がかかる注目局の勝敗と展開を、データを基に予想してみた。

藤井竜王は好調維持

<藤井竜王の最近10局>(未放映のテレビ対局を除く)

11月6日

将棋日本シリーズ準決勝

対稲葉陽八段 ○

11月8、9日

竜王戦七番勝負第4局

対広瀬章人八段 ○

11月14日

順位戦A級

対広瀬八段 ○

11月20日

将棋日本シリーズ決勝

対斎藤慎太郎八段 ○

11月25、26日

竜王戦七番勝負第5局

対広瀬八段 ●

11月29日

棋王戦コナミグループ杯本戦敗者復活戦1回戦

対伊藤匠五段 ○

12月2、3日

竜王戦七番勝負第6局

対広瀬八段 ○

12月8日

棋王戦コナミグループ杯本戦敗者復活戦2回戦

対羽生善治九段 ○

12月19日

棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第1局

対佐藤九段 ○

12月23日

順位戦A級

対佐藤九段 ○

<佐藤九段の最近10局>(未放映のテレビ対局を除く)

9月21日 伊藤園お~いお茶杯王位戦予選

対片上大輔七段 ○

10月3日 順位戦A級

対糸谷哲郎八段 ○

10月14日 ヒューリック杯棋聖戦2次予選

対屋敷伸之九段 ●

10月19日 伊藤園お~いお茶杯王位戦予選

対石井健太郎六段 ●

10月28日 順位戦A級

対永瀬拓矢王座 ●

11月3日 棋王戦コナミグループ杯本戦

対藤井竜王 ○

11月11日 順位戦A級

対斎藤慎太郎八段 ●

11月17日 棋王戦コナミグループ杯本戦

対羽生善治九段 ○

12月19日 棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第1局

対藤井竜王 ●

12月23日 順位戦A級

対藤井竜王 ●

 藤井竜王の直近10局は9勝1敗とかわらず順調。竜王戦で広瀬九段の挑戦を4勝2敗で退け連覇を達成、順位戦A級でも5勝1敗と挑戦権争いのトップに立っている。

 佐藤九段は11月以降藤井竜王に土をつけている数少ない棋士だが直近10局は4勝6敗の負け越し。

 調子の比較では藤井竜王優位と見ていいだろう。

藤井竜王先手なら佐藤九段が横歩取りに誘導か。佐藤九段先手なら矢倉が本命

 直接対決は藤井竜王の6勝1敗。二番勝負であっても本局の先後はあらためて振り駒で決められるため最近の戦型選択の傾向からは藤井竜王先手なら角換わりを志向するだろうが第1局同様佐藤九段が横歩取りに誘導すると思われる。佐藤九段先手なら矢倉を選ぶ可能性が高いだろう。

 データでは圧倒優位に立つ藤井竜王に対し、名人3期の実績を持つ佐藤九段が大一番で再び「意地を見せる」か注目される。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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