第８１期順位戦（朝日新聞社、毎日新聞社主催）Ｂ級１組１回戦は６月１６日東西の将棋会館で一斉に行われる。前期順位戦で過去名人在位９期を含む２９期連続で守ってきたＡ級の座から初めて陥落を喫した羽生善治九段（５１）は前期Ａ級の山崎隆之八段（４１）と対戦する。

　羽生九段、山崎八段ともに１期でのＡ級復帰を果たせるか注目の開幕戦を、データを基に予想してみた。

両者とも復調気配

＜羽生九段の最近１０局＞（未放映のテレビ対局を除く）

２月４日　順位戦Ａ級

対永瀬拓矢王座　●

２月１６日　お～いお茶杯王位戦リーグ白組

対久保利明九段　●

３月３日　順位戦Ａ級

対広瀬章人八段　●

３月７日　竜王戦１組

対丸山忠久九段　●

３月１８日　お～いお茶杯王位戦リーグ白組

対糸谷哲郎八段　●

３月３１日　王座戦２次予選

対高野智史六段　●

４月６日　竜王戦１組出場者決定戦

対松尾歩八段　●（千日手指直し）

４月１３日　お～いお茶杯王位戦リーグ白組

対池永天志五段　○

４月１９日　お～いお茶杯王位戦リーグ白組

対千葉幸生七段　○

５月２日　お～いお茶杯王位戦リーグ白組

対澤田真吾七段　○

＜山崎八段の最近１０局＞（相手の肩書は対局当時・未放映のテレビ対局を除く）

１月１１日　順位戦Ａ級

対豊島将之九段　●

２月４日　順位戦Ａ級

対広瀬章人八段　●

２月８日　叡王戦本戦

対丸山忠久九段　●

２月２５日　ヒューリック杯棋聖戦本戦

対森内俊之九段　○

３月３日　順位戦Ａ級

対永瀬拓矢王座　●

３月１１日　竜王戦１組

対佐藤天彦九段　●

３月１６日　王座戦２次予選

対大橋貴洸六段　●

４月１日　ヒューリック杯棋聖戦本戦

対佐々木大地六段　●

５月２日　竜王戦１組出場者決定戦

対渡辺明名人　○

５月２０日　竜王戦１組出場者決定戦

対松尾歩八段　○

　両者とも直近１０局の成績は３勝７敗の負け越し。ことにタイトル獲得通算９９期の大棋士・羽生九段は今年２月から自己ワースト記録の７連敗を喫し不調のどん底だった。しかし開幕から２連敗で陥落目前だった王位戦リーグを３連勝して残留、復調の兆しが見えてきた。

　山崎八段も４月の新年度に入ってからは竜王戦１組出場者決定戦で２つ白星を重ね、１組４位で決勝トーナメント出場を決めて上り調子。調子の比較ではほぼ互角といっていいだろう。

直接対決は羽生九段リードも近年は山崎八段が盛り返す

　直接対決は２４局あって羽生九段が１９勝５敗と大きく引き離している。

　ただし最近５年の対戦成績は３勝１敗と山崎八段が勝ち越していて、巻き返しつつある状況だ。また順位戦は先後が決まっており本局は山崎八段が先手のため主導権を握って戦うことができそうだ。

　データからは山崎八段得意の相掛かりが本命視されるが、後手の羽生九段が横歩取りに誘導する可能性も高いとみる。

　Ｂ級１組は１３人による昇級２名、降級３名の総当たり全１３回戦（休み番あり）の長丁場。今期は２０代の若手が３人と少ないため本局の勝者が昇級争いの中心になると思われる。