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藤井竜王A級昇級なるか――第80期順位戦B級1組最終13回戦展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
19歳で棋界の第一人者となった藤井聡太竜王(筆者撮影)

 第80期順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)B級1組は3月9日に東西の将棋会館で最終13回戦6局が一斉に行われる。

 ここまで9勝2敗とA級昇級レース(昇級2人)のトップを走る藤井聡太竜王(19)=王位・叡王・王将・棋聖は佐々木勇気七段(27)と対戦する。ほかに昇級の可能性があるのは8勝3敗の稲葉陽八段(33)と千田翔太七段(27)。

 データを基に昇級争いの勝敗と展開を予想してみた。

<順位戦B級1組上位グループ成績>(丸数字は現時点の成績順。段位のあとの数字はリーグ順位)

①藤井聡太竜王(11)9勝2敗

②稲葉陽八段(1)8勝3敗

③千田翔太七段(7)8勝3敗

データは藤井竜王断然優位を示す

 藤井竜王は昇級を争うライバル稲葉八段と千田七段に敗れ2敗を喫したが、星一つのリードを保っている。最終戦の相手はデビューから29連勝のあと連勝を止められた佐々木七段で因縁の相手だ。

 稲葉八段は郷田真隆九段、千田七段は木村一基九段と対局する。それぞれの過去の対戦成績は以下のとおり。

藤井竜王2勝-佐々木七段1勝

稲葉八段2勝-郷田九段0勝

千田七段1勝-木村九段2勝

 上記のとおり、対局数が少なく稲葉八段以外のカードは勝敗が拮抗しておりほぼ互角と考えられる。自力昇級が可能なのは藤井竜王と稲葉八段の2人で、千田七段は自身が勝利し藤井竜王か稲葉八段のいずれかが敗れると逆転昇級となる。

<藤井竜王の最近10局>(対戦相手の肩書は対局当時)

11月24日 ALSOK杯王将戦リーグ

対永瀬拓矢王座 ●

12月2日 順位戦B級1組

対近藤誠也七段 ○

1月9、10日 ALSOK杯王将戦七番勝負第1局

対渡辺明王将 ○

1月13日 順位戦B級1組

対千田七段 ●

1月16日 朝日杯将棋オープン戦

対船江恒平六段 ○

1月16日 朝日杯将棋オープン戦

対永瀬王座 ●

1月22、23日 ALSOK杯王将戦七番勝負第2局

対渡辺王将 ○

1月29、30日 ALSOK杯王将戦七番勝負第3局

対渡辺王将 ○

2月3日 順位戦B級1組

対阿久津主税八段 ○

2月11、12日 ALSOK杯王将戦七番勝負第4局

対渡辺王将 ○

<佐々木七段の最近10局>

12月8日 竜王戦1組

対山崎隆之八段 ●

12月23日 順位戦B級1組

対千田七段 ●

1月7日 王座戦2次予選

対戸部誠七段 ○

1月13日 順位戦B級1組

対横山泰明七段 ●

1月21日 ヒューリック杯棋聖戦2次予選

対八代弥七段 ●

1月27日 ALSOK杯王将戦1次予選

対中川大輔八段 ○

2月3日 順位戦B級1組

対郷田真隆九段 ●

2月18日 竜王戦1組出場者決定戦

対阿部健治郎七段 ●

2月25日 ALSOK杯王将戦1次予選

対上村亘五段 ●

2月28日 王座戦2次予選

対高野智史六段 ●

 藤井竜王と佐々木七段の調子の比較では直近10局で藤井竜王が7勝3敗と順調なのに対し、佐々木七段は2勝8敗で4連敗中と対照的だ。ただし、前述のように佐々木七段は2017年に藤井竜王のデビュー30連勝を阻止した実績があり、何か「事件」が起きても不思議ではない。

 戦型に関しては、順位戦は先後が決まっており本局は佐々木七段が先手。最近の採用率からは相掛かりか矢倉になりそうだ。

2番手稲葉八段やや有利か

 残り2つのカードの手番と直近の成績は、稲葉八段(先手)が8勝2敗、郷田九段5勝5敗と差がある。過去の対戦成績(2勝0敗)を含め稲葉八段有利といえよう。

 また千田七段(先手)5勝5敗、木村九段4勝6敗とこちらは調子の比較ではほぼ互角。

 いずれも居飛車党同士の対戦なので、相掛かりや角換わりに進む可能性が高そうだ。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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