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渡辺棋王、三冠堅守なるか――棋王戦五番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
今年夏には五冠の可能性もある渡辺明棋王(筆者撮影)

 渡辺明棋王(35)に本田奎五段(22)が挑戦する第45期棋王戦五番勝負(共同通信社主催)は2月1日石川県金沢市「北国新聞会館」で第1局が行われる。

 挑戦者の本田五段は奨励会時代から勉強にAI(人工知能)を積極的に取り入れ「目標とするのはトップ棋士の将棋でなく、AIのように考え指すことが理想」と公言している。その言葉を裏付けるように棋士デビューからわずか1年4カ月(歴代2位)、初参加の棋戦で挑戦者になったのは史上初の記録だ。

 迎え撃つ渡辺棋王(王将・棋聖)はA級順位戦では7連勝で早々と豊島将之名人への挑戦を決め、現在8連勝と全勝挑戦まであと1勝。叡王戦でも挑戦者決定三番勝負に進んで今年夏前に五冠の可能性を残している。

 絶対強者にデビュー間もない大型新人が挑む五番勝負の展開を予想してみた。

挑戦者にも十分勝機あり

 実績では無論渡辺棋王が圧倒的だが、並行して行われる王将戦七番勝負ほか過密日程の疲労は無視できない。勢いに乗る本田五段にもチャンスはあると思われる。

<渡辺棋王の最近10局>

12月20日 竜王戦ランキング戦1組

対佐藤和俊七段 ●

12月25日 順位戦A級

対広瀬章人八段 ○

1月4日 順位戦A級

対稲葉陽八段 ○

1月7日 王位戦予選

対佐々木大地五段 ●

1月9日 叡王戦本戦

対広瀬章人八段 ○

1月12、13日 王将戦七番勝負第1局

対広瀬章人八段 ○

1月20日 朝日杯本戦

対山崎隆之八段 ●

1月22日 叡王戦本戦

対青嶋未来五段 ○

1月25、26日 王将戦七番勝負第2局

対広瀬章人八段 ●

1月29日 順位戦A級

対糸谷哲郎八段 ○

<本田五段の最近10局>*肩書は対局当時

11月22日 王座戦1次予選

対青嶋未来五段 ●

11月27日 棋王戦本戦

対丸山忠久九段 ○

12月2日 棋王戦本戦

対広瀬章人竜王 ○

12月5日 順位戦C級2組

対大平武洋七段 ○

12月16日 棋王戦挑戦者決定戦第1局

対佐々木大地五段 ●

12月20日 王位戦予選

対阿部光瑠六段 ○

12月27日 棋王戦挑戦者決定戦第2局

対佐々木大地五段 ○

1月10日 王位戦予選

対宮田敦史七段 ○

1月16日 順位戦C級2組

対村田智弘七段 ●

1月24日 竜王戦ランキング戦6組

対田中悠一五段 ○

 渡辺棋王は直近6勝4敗、トップ棋士との対戦が多いので調子はまずまずといったところだろうか。

 一方、本田五段の直近は7勝3敗、昨年末には王位リーグ入りも決めており調子は上々といっていいだろう。これまでトップ棋士との対戦は棋王戦だけでも予選で永瀬拓矢二冠(対局時は七段で叡王奪取直前)、本戦で佐藤天彦九段、丸山忠久九段、広瀬章人八段らビックタイトル経験者を破っており実績十分だ。

戦型は相掛かりと矢倉が中心か

 両者は初手合い、戦型は本田五段が先手番なら得意とする相掛かりを志向することが予想され、渡辺棋王が素直に応じるか、何らかの変化球を用いるかに注目だ。

 渡辺棋王先手の場合は本田五段が角換わりの後手番を得意としているので矢倉を志向する可能性が高そうだ。矢倉模様に進んでも本田五段はAIが好む急戦志向の作戦を取るだろう。

 総合すると番勝負の経験値など渡辺棋王に一日の長があるとみるが、五番勝負は接戦になると予想する。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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