解説:緊急宣言で働く人々への「給付」はどうなる? 政府は一部給付を延長へ

(写真:Nobuyuki_Yoshikawa/イメージマート)

 4月25日に4都府県に発令された緊急事態宣言を受け、多くの施設や店舗が臨時休業や一時閉店の実施を余儀なくされています。前回の宣言とは異なり、大型商業施設や酒を提供する飲食店などに対して休業が要請されているため、働く人々への影響は大きくなるものと予想されます。

 勤め先が休業し、「給料が減って生活が苦しい」という方も多いのではないでしょうか。一年前の宣言発令時には、休業の影響が家計を直撃し、生活に困った方々からの相談が私たちのもとにも多く寄せられました。今回も同様の事態が起こることが懸念されます。解雇や雇い止めの増加も予想されています。

 そこで、ここでは、労働者向けの支援策について改めて解説していきます。

 最近ではあまり報道されなくなってしまいましたが、コロナ禍の影響から労働者の生活を守るためにいくつかの支援策が講じられています。これらの制度を活用することにより、生活を維持し、ピンチを乗り越えることができるかもしれません。

宣言地域では助成率100%が継続か?

 コロナ禍の影響による休業によって労働者の生活が支障をきたすことのないように政府が講じている施策の中心にあるのが、「雇用調整助成金」の特例措置です。

 雇用調整助成金は事業主に対して支給される助成金です。経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者を一時的に休業させるなどし、労働者の雇用維持を図った場合に、事業主の申請に基づき、事業主が労働者に支払った休業手当等の一部を助成するという制度になります。

 この制度を使えば、労働者は実際に仕事をできていなくても、勤め先から休業手当を支払ってもらうことができます。一方で、事業主が労働者に支払った休業手当の大部分が助成金から補填されるため、事業主は大きな負担をせずに労働者の雇用を維持することができます。

 労働者に支払った休業手当のうち助成金で補填される割合(=助成率)は、コロナ特例によって通常時よりも高くなっており、最大で100%となっています。

 こうした特例措置が講じられる期間は4月30日までとなっており、5月からは段階的に縮小されますが、感染が拡大している地域や特に業況が厳しい企業については特例措置が継続されることになっています。

まん延防止等重点措置実施地域では、営業時間の短縮等に協力した事業主については、企業規模を問わず、5〜6月についても助成率が最大100%(日額上限15,000円)となることが発表されています。

 今回の緊急事態宣言に伴う特例措置については現時点では発表されていませんが、休業要請等を受けた施設に対しては同様の措置がとられるものと思われます。

参考:「5月・6月の雇用調整助成金等・休業支援金等」(厚生労働省プレスリリース資料)※2021年3月25日時点の情報。

雇用調整助成金はあらゆる場合に活用できる

 雇用調整助成金の対象になるのは正社員に限られません。パート、アルバイトや派遣労働者の方も対象になります(雇用保険に加入していない方の場合、「緊急雇用安定助成金」という制度の助成対象となります。名称が異なるだけで、雇用調整助成金と同等の助成を受けることができます)。

 また、時短営業(短時間休業)の場合にも、この助成金を活用することができます。例えば、飲食店が閉店時間を早め、所定労働時間の一部について休業とした場合に、時間単位の休業手当を支払えば、助成金を申請することができます。

参考:「雇用調整助成金は短時間休業にもご活用いただけます!!」(厚生労働省リーフレット)

 シフト制で働いている場合に、コロナ禍の影響によってシフトが減ってしまったというケースでも雇用調整助成金の対象になり得ます。労働日が変動する契約の場合、「休業」という認識を持ちにくいために助成対象にならないと勘違いされていることが多いのですが、それは誤りです。

 例えば、直近月のシフト等に基づいて勤務シフトを作成し(=労働日の設定)、それに基づいて事業主が休業手当を支払えば、問題なく助成対象となります。

 このように、雇用調整助成金は、あらゆる場合に活用できるようになっています。しかし、コロナ禍の拡大に合わせて助成制度が拡充されてきたにもかかわらず、労働相談の窓口には「休業手当を支払ってもらえない」という相談が寄せられ続けてきました。

 労働者側に責任のない休業の場合、事業主は労働者に対して一定の休業手当を支払わなければならないというのが法律上の原則です。雇用調整助成金を活用して休業手当を支払うことは事業主としての当然の義務だといえます。事業主は助成制度をフル活用して、労働者の雇用の維持に努めるべきでしょう。

 もし事業主が休業手当の支払いを拒む場合には、労働者は、事業主に対して、制度を活用して休業手当を支払うよう求めていく必要があります。泣き寝入りせずに、話し合いを求めていくことが重要です。

 また、経営上の理由による解雇を告げられた場合にも、雇用調整助成金を活用して雇用を維持するように求めていくことができます(助成金の活用すら検討せずに行われた解雇は、解雇を回避する努力を尽くしていないということで、無効だと判断される可能性があります)。

参考:雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例、厚労省HP)

労働者が自ら申請することができる「休業支援金」

 小規模な事業主の場合など、助成金を受け取るまでの間、休業手当を支払うお金を一時的に立て替えることさえできないというケースもあります。こうした場合は、事業主に休業手当を支払ってもらうことは困難です。

 しかし、事業主から休業手当を支払ってもらえなかった場合でも諦める必要はありません。コロナ禍の影響により休業させられた労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった方は休業支援金を申請することができます(正式には「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」といいます)。

 中小企業に勤める労働者の場合、休業の実績に応じて、休業前賃金の8割が支給されます(2021年4月までは日額上限11,000円)。

 また、この制度は当初、中小企業に勤める労働者を対象としていましたが、現在では、シフト制、日々雇用、登録型派遣で働く労働者に限っては、大企業に勤めている場合でも支給対象とされています。

 制度の詳細や申請方法については、以前アップした記事(以下のリンク先)や厚生労働省のリーフレットをご確認ください。なお、休業支援金については、事業主の協力を得られない場合であっても支給が認められる可能性があります。

参考:「本日より「休業支援金」が大企業の非正規で受付開始! 制度の「最新情報」を解説します」(2021年2月26日時点の情報です。その後、申請期限等が変更になっているためご注意ください。)

参考:「「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」のご案内」(厚生労働省リーフレット)

参考:「コロナの影響で勤務時間が減りお困りの労働者の方は休業支援金を申請できます」(厚生労働省リーフレット)

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