東海大相模優勝の立役者、左腕エース・石田の驚愕の安定感

優勝投手にふさわしい鉄壁のスタッツ

  劇的なサヨナラ勝ちで10年ぶり3度目の選抜優勝を果たした東海大相模、その中心には難攻不落の左腕エース・石田隼都の姿があった。全5試合に登板し29回1/3を投げて無失点、45個の三振を奪い与えた四球は2つだけという完璧な内容で相手を全く寄せ付けなかった・・・ここまでは多くのメディアでも紹介されているが、さらに細かく見ていくと凄まじ過ぎる安定感が浮かび上がってくる。

 イニングの頭から投げた29イニング中16イニングを三者凡退に抑えており、これだけでもかなり優秀なのだが特筆すべきは先頭打者の出塁を3度しか許していないこと。プロ野球の場合だが得点期待値(その状況からイニング終了までに何点入るか)は1死走者なしが0.242点で無死1塁が0.821というデータがある。先頭打者を出すか出さないかは約0.6点も変わる非常に重要なファクターだが石田は攻撃の芽を確実に摘んでいた。さらに相手が何とかチャンスを作ってもそこで石田のギアが上がる。得点圏に走者を置いて対峙した16人の打者の内、外野に打球を飛ばせたのは2人だけ。さすがに疲労の色を隠せなかった決勝を除けば12人中6人を三振に仕留め、最も確実な方法でピンチを切り抜けている。大会を通じて2ストライク後に出塁を許したのは70人中6人のみ(しかも振り逃げの1人を含む)。追い込まれてしまえば91.4%の確率でアウトになるという相手にとっては絶望的な数字が突きつけられた。

変化球でカウントが取れてコースを間違えない

 石田が好投手であることは誰が見ても一目でわかる。ただわかりやすい150km/hオーバーの豪速球や桐光学園時代の松井裕樹(楽天)が投げていたスライダーのような絶対的な魔球があるわけではない。では具体的に何が優れていたのか。

・3ボール1ストライクなど打者有利のカウントになっても変化球で難なくストライクを奪えること

・右打者のインコースに投げ込む際に決してラインを外さないこと

 これは勝てる左投手の必須条件でこの部分が甘くなると良い球を投げるのに印象ほど成績がパッとしない、もどかしい投手になってしまう。石田は置きにいった球ではなくしっかり腕を振ってどちらもクリアしていた。相当意識して練習してきたに違いない。闘争心や向上心も持ち合わせ、メンタル的にも文句なし。上の世界で見たい、そう思わずにはいられない世代屈指の好投手だった。