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人的補償で移籍の尾仲、あるぞ一岡超えの大ブレイク

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

 大和がFA移籍した阪神は,、DeNAに人的補償を求め、150キロ右腕の尾仲を獲得した。プロテクトリストが届いてから決定までは実に速く、期待の高さを感じさせる。

文句なしのファーム成績

 ドラフト6位ルーキーの尾仲はファームで25試合に登板し1勝0敗5セーブ、防御率1.38という好成績を残した。しかもその内容も素晴らしい。32回2/3を投げて被安打は20で被本塁打は0、与えた四球は5つだけで46個の三振を奪っている。これらを指標で表すと

 WHIP(1イニングに何人の走者を出すか。1.2を切ると優秀、1.0を切るとかなり優秀)は0.77と安定感抜群。

 K/BB(四球を1つ与えるまでに三振をいくつか奪えるか。3.5を超えると優秀)は9.2と完成度が高い。

 FIP(野手の守備力など外的要因の影響を受けない被本塁打、与四球、奪三振の3つから算出した投手本来の実力。擬似防御率と見ることも出来る)は0.85と鉄壁。

 結論・・・尾仲はすごく良い投手だ。

移籍前年の一岡を超えている

 人的補償での移籍から新天地で活躍する投手と言えば、真っ先に広島の一岡が挙げられる。一岡は巨人最終年となった2013年にファームで35試合15セーブ、防御率1.10と好投し、広島に移った2014年には1軍で31試合に投げて2勝0敗16ホールド2セーブ、防御率0.58、WHIP0.74と一気にブレイクした。尾仲のファーム成績を一岡の2013年のものと比べてみると

 WHIP

 尾仲 0.77

 一岡 1.01

 K/BB

 尾仲 9.2

 一岡 4.2

 FIP

 尾仲 0.85

 一岡 2.32

 全ての面で一岡を上回っている。1軍では11試合19回1/3を投げて16点を失い(自責点は14点)、防御率6.52。イニング数を上回る安打を浴び、イニング数に近い四球を与えWHIPも1.91とプロの壁に跳ね返された。しかし、一岡も移籍前年の1軍成績は9試合10回1/3を投げて防御率5.23、WHIP1.35だった。来季、甲子園のマウンドで一躍スターダムに躍り出ても不思議ではない。

 今季挙げた1勝は8月22日の広島戦でのもの。3点ビハインドの8回から登板し2イニングを無失点に抑えると、9回裏に筒香、ロペス、宮崎のクリーンアップが3者連続本塁打を放ち逆転サヨナラ勝ち。劇的なプロ初勝利を飾るなど何か持っている。頼もしい右腕が加わった。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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