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マエケンの穴は野村が埋めた。42度の逆転勝ち、得失点差169点でつかんだ25年ぶりの優勝

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

開幕前の順位予想では多くの解説者が広島をBクラスに予想をした。その最大の理由はメジャー移籍したマエケンの穴が大きいというものだった。

昨季の前田の成績は15勝8敗、防御率2.09。29試合に先発して降板に追い込まれたのはわずか2回だけでQS率は89.7%。その2試合以外は全て7回以上を投げている。

絶対的な大黒柱を失ったが広島の471失点はセリーグ最少。投手陣が奮闘している。中でも大きく成績を伸ばしたのが今季14勝3敗、防御率2.96と1人で11もの貯金を作った野村だ。昨季、リーグの平均的な投手と比べて前田が防いだ失点は34.27点。野村は-17.75点だった。それが今季はプラスに転じ13.08点。チームにとっては30点以上改善出来たわけだからイニング数では及ばないもののマエケンの穴はこれでほとんど埋まったと言っていい。

さらに今季の広島投手陣で目を引くのがリリーフ陣の成績。

ジャクソン 5勝4敗、防御率1.68

今村 3勝4敗、防御率2.53

中崎 3勝4敗33セーブ、防御率1.34

ヘーゲンズ 7勝4敗、防御率2.64

平均的な投手と比べて防いだ失点もジャクソンが16.06点、今村が11.56点、中崎が16.25点、ヘーゲンズが8.38点。先発と比べてイニング数の少ないリリーフ陣で2桁のアドバンテージを作ればかなり優秀な部類に入る。例えばリーグトップの37セーブを挙げている巨人・澤村で10.04点、開幕31試合連続無失点の日本記録を作った中日・田島で15.44点、すでに41セーブを挙げてるソフトバンク・サファテで11.82点。広島のブルペンにはクローザー級の投手が4人いることになる。2人ならともかく4枚揃うというのはかなり強力だ。リードしている時はもちろん、同点あるいは状況によっては僅差のビハインド時でも勝ちパターンの投手をつぎ込める。ヘーゲンズは8月中旬から先発を務めているが、その間は防御率2.18の一岡が好投。8月9日の1軍昇格後はまだ1失点しか許していない。今季挙げた82勝の内、逆転勝ちによるものがなんと過半数の42度。リーグ断トツトップの640得点はすでに昨季を130点以上上回っているが、リリーフ陣の活躍なくしてこの快挙はあり得ない。

昨季のセリーグに起きた全チームが借金を背負うという前代未聞の事態ほどではないが、今季も中々珍しいことが起きている。広島が640得点、471点と得失点差で169という凄まじいプラスを叩き出す一方、他の5球団は全てマイナス。広島が優勝を決めた翌日のデーゲームで8-0と完勝し、貯金が6ある巨人でさえ得失点差ではマイナスを抱えている。広島の交流戦の成績は61得点、57失点とほぼ同じだったから得失点差のプラスはセリーグ相手に作ったことになる。2位に15ゲーム差をつけて25年ぶりの優勝を飾った広島、投打共に間違いなくセリーグ最強チームだった。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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