「スクールバスお断り」の医療的ケア児に、東京都から一筋の光が

(ペイレスイメージズ/アフロ)

 保育園に入れない医療的ケア児をお預かりする障害児保育園ヘレン障害児訪問保育アニーを運営する駒崎です。

 昨日、「歩く都議会情報」の音喜多都議の呟きとその後のブログによって、医ケア児家庭によって大きな一歩が踏み出されたことを知りました。

東京都、医療的ケア児の支援に一歩前進!通学手段(スクールバス等)の確保を検討へ

http://otokitashun.com/blog/daily/16671/

【医療的ケア児とは?】

 医療的ケア児は、人工呼吸器等の医療的デバイスと共に生きる障害児。医療の発達のお陰で、以前は出産とともに亡くなってしまっていた子どもたちも、助かることができるように。

 けれど、医療的デバイスを付けて生きる彼らを、受け入れてくれる保育園や幼稚園はほとんどなく、医療的ケア児の親子の子育ては非常に負担が大きいのです。

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(一部、我々フローレンスが行う障害児保育園ヘレンや障害児訪問保育アニー、また世田谷区の公立幼稚園、東村山市の訪問保育等、都内でもごく一部の園やサービスがあるだけという状況)

【スクールバスから排除】

 保育園や幼稚園は行けず、ようやく都立の特別支援学校に行けると思ったら、「スクールバスに看護師がいないから、乗れません」と断られます。

 よって親御さん(母親がほとんど)は、車を運転し、運転しながら信号待ちの時にたんの吸引をしたりして、大変な思いをして送っていきます。

 しかし、都立の特別支援学校では「看護師が足りないから、お母さん、教室で待機していてください」と言われて、ずっと付き添いを要請されます。

 看護師がいる場合でも、なぜか学校側のルール(と看護師側の責任を取ることへの恐れ等)で「看護師がいるけど医ケアはできません。お母さんずっと付いていてください」と言われます。

 結局母親は働けず、プライベートな時間も持ちづらく、健常児家庭では考えられないくらいの負担を負わされるのです。

【これまでの動き】

 こうした状況について、民間からは医療的ケア児家庭や事業者で構成される全国医療的ケア児者支援協議会が声をあげてきました。

 具体的には、訪問看護師がスクールバスや学校に付き添えるようにしてほしいと記者会見をしたり、国家戦略特区に申請を出したり、また都議会議員の方々に現状を説明し、都庁に質問をぶつけてもらってきました。

安倍総理に「医療的ケア児が普通に学校に行ける」ようにお願いしました

https://news.yahoo.co.jp/byline/komazakihiroki/20161027-00063756/

「医ケア児も親同伴なしで学校に!」記者会見がNHKニュースで取り上げられました!

http://iryou-care.jp/news/360/

 しかし、なかなか東京都は動きませんでした。音喜多都議の質問に対しても、ゼロ回答が続いてきました。また、公明党の議員の方々も質問をしてくれていましたが、やはり芳しい回答は返ってきていませんでした。

【ようやく出た教育長答弁】

 しかし、今回、公明党都議の橘正剛氏と以下のようなやりとりがありました。(太字は筆者)

橘都議

「医療的ケアが必要な子供の通学手段について。都はこれまで、スクールバス内での医療的ケアの実施は、安全の確保が難しいため困難としてきたが、最近の技術革新や工夫を凝らすことで、医療的ケアが必要な児童・生徒の通学手段を都が確保すべきと考えるが、見解を伺う」

教育長

「医療的ケアが必要な子供の通学手段についてであるが、これまでスクールバスの乗車中に医療的ケアの必要がある児童・生徒については、車内において衛生的かつ安全な環境の確保が困難であるため、乗車を認めていない。

こうした児童・生徒の多くは保護者の送迎により通学しており、保護者の状況によっては通学が難しい場合があることから、学校での学習機会の拡充を図るために、安定的に通学できる仕組みを整備する必要があると認識している。

今後、こうした点などを踏まえて、医療的ケアの必要な児童・生徒の安全の確保を第一としながら、安定期な通学手段の確保策について検討していく。

 これは行政用語では「やります」ということと同義です。

 これまでは「できません・やるつもりもないです」から、「やります」という方向に、変わったことがこの答弁から分かります。

 これは、これまでスクールバスから排除されてきた医療的ケア児の親子にとって、大きな前進といえるでしょう。

 前向きな答弁を引き出した都議会公明党には、大きな拍手を送りたいと思います。

【今後の課題】

 とはいえ、手放しで喜べる段階ではまだありません。

 おそらく、最初は試験的にエリアを区切って、医ケア対応型のスクールバスを走らせることになると思いますので、送迎から解放される医ケア児親子は当初は少数となるのでは、と予想されます。

 また、それを拡大していく過程で、都はしっかりと看護師を確保できるのか、というところも課題です。都立の特別支援学校等では、なかなか看護師を集められない現状も、現地で聞いたことがあります。

 さらに、スクールバスで通えても、今度は教室で「お母さん、ずっと付いていてください」となります。教室でしっかり医ケア対応してもらえないと、保護者(特に母親)の就労に繋がっていかないのです。

 そしてこれらは、今回のように東京都が前向きに取り組めば、実現できることなのです。

【東京都こそが、変化となるべき】

 東京都が変わることで、全国の自治体に変化を波及させていくことができるでしょう。

 逆に、医療的ケア児がスクールバスから排除され、親は働くこともできない、という状況のまま、2020年のパラリンピックを迎えることは恥ずかしいことです。

 なんとかこれを良いきっかけにして、東京都が変化していってもらえるよう、都民の1人として、強く願います。

 そして、都議会議員の皆さんは、ぜひ公明党に続き、この医療的ケア児の問題に関心を持っていただき、都庁に質問を投げ続けていただきたいと思います。

 医療的ケア児を助けることに、党の垣根は関係ありません。

 全ての子ども達に、良き教育を。都民みんなで実現していきましょう。