米アップルが9月14日(米国時間)に発表した新型スマートフォン「iPhone 13」は日本での販売価格が8万6800〜19万4800円(税込み)。最も安価なモデルの「iPhone 13 mini」の最低価格は、前年モデル「12 mini」の発売時より約4500円高い。だが、米国では引き続き699ドルとした。アップルはこの日、最新iPhoneの最低価格が前年の12と変わらないことを強調した。

iPhone価格、中国SNSで話題に

13シリーズの上位モデル2機種にはストレージが1テラバイトと、これまでの最大容量の約2倍が用意された。また普及モデルの2機種には、12にはなかった512ギガバイトが加わった。これによりiPhone 13シリーズの平均価格は約1106ドルとなり、12シリーズ発売時の平均価格だった999ドルから約11%上昇した(図1)。

iPhone製品ラインアップの価格(米国) インフォグラフィックス出典:ドイツStatista
iPhone製品ラインアップの価格(米国) インフォグラフィックス出典:ドイツStatista

一方で、中国の消費者は、12と同程度である比較的低い価格設定に関心を示していると米ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。カメラ機能の進化や、新型半導体「A15」による処理能力の向上、バッテリー駆動時間の延長といった要素が割安感を出しており、話題になっている。中国版ツイッターの「微博(ウェイボ)」では、「iPhone 13価格」という話題の閲覧回数が10億回を超えたという。

アップルに吹く「2つの追い風」

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、原材料や部品価格が上昇したにもかかわらず、アップルは価格を据え置いた。これが中国の消費者の好評を博している。同国はiPhoneの世界販売台数の2割を占めており、アップルにとって重要な市場。こうした中、同国ではアップルにとって追い風となる動きが2つあるという。

1つは、高速通信「5G」サービス。iPhoneは12シリーズから5Gに対応している。同通信サービスの普及に伴い、iPhoneの買い替え需要が増大しているという。もう1つは、スマホ市場で競合する中国・華為技術(ファーウェイ)の失速だ。ファーウェイは米政府の禁輸措置で半導体やソフトウエアの調達が困難になり、スマホを含む消費者向け電子機器の生産量が低下。21年1〜6月期の消費者向け事業の売上高は47%減少した。一方でアップルは5G対応によって中国市場で販売を伸ばした。

アップルが直面する「2つのリスク」

ただ、アップルにはリスクもある。ファーウェイ以外の中国メーカーの台頭だ。同紙によると、中国スマホ市場の上位3社は、中国vivo(ビボ)、中国OPPO(オッポ)、中国・小米(シャオミ)。アップルはこれに次ぐ4位。

このうち、シャオミは世界市場でアップルを脅かす存在になっている。香港の調査会社カウンターポイント・リサーチによると、シャオミは21年6月に、世界スマホ販売台数で初めて首位に浮上した。同社はファーウェイの穴を埋めるように欧州や東南アジア、中国などの市場で躍進している。

アップルにとってもう1つのリスクは半導体などの電子部品の供給不足問題だ。アップルは21年4月、パソコン「Mac」とタブレット端末「iPad」について、4〜6月期に30億〜40億ドル(約3400億〜4500億円)の売り減が生じると指摘していた。

アップルの幹部は21年4〜6月期の決算発表で、影響を最小限に抑える施策によって同四半期の逸失売上高が全体で30億ドル弱にとどまったと説明した。だがこの時、ティム・クックCEO(最高経営責任者)は、「半導体不足に伴い製品供給が制約され、7〜9月期のiPhoneとiPadの販売に影響が及ぶ」との見通しを示した。

(このコラムは「JBpress Digital Innovation Review」2021年9月17日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)