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「子ども版インスタ断念を」、米40州の司法長官らが要求、テスラ車の衝突死亡事故で米当局が報告書

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

筆者が注目した海外発最新テクノロジーニュース3本をダイジェストで

[1]「子ども版インスタ断念を」、米40州の司法長官らがFBに要求

米国の44州・地域の司法長官がフェイスブック(FB)のマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)に書簡を送り、写真共有アプリ「インスタグラム」の子ども版の計画を断念するよう要求した。米CNBCロイターなどが5月10日に報じた。

司法長官らは「子どもはソーシャルメディアの問題に対処する準備ができていない。子どもの健康と幸福に害を及ぼす恐れがある」と懸念を示した。また「フェイスブックは以前から子どもの保護を怠っている」とも指摘した。

フェイスブックの広報担当者は「子ども向けインスタグラムの検討を始めたばかりだ。13歳未満向けのインスタグラムでは広告を表示しない方針」と述べた。「どのバージョンのインスタグラムでも安全性とプライバシー保護を最優先にすべきとの意見に賛同している」とし、子どもの発達や安全、メンタルヘルス、プライバシーの専門家に助言を求める考えも示した。

書簡には、ニューヨーク州やテキサス州、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、ネブラスカ州、ミシガン州、オハイオ州、ユタ州など40州のほか、首都ワシントンと3地域の司法長官も署名した。

[2]アマゾンがサステナビリティー債活用で、持続可能事業に投資

米アマゾン・ドット・コムが、同社初のサステナビリティー債を発行し、10億ドル(約1090億円)を調達したと、ロイターが5月10日に報じた。再生可能エネルギーやクリーンな輸送手段、持続可能な建築物のほか、手ごろな価格の住宅などに投資する。

サステナビリティー債の発行は新たな枠組み「サステナブル・ボンド・フレームワーク」の一環。アマゾンは他の社債も発行し総額約185億ドル(約2兆円)を調達したという。これらの資金を既存、新規プロジェクトに投じる計画。

輸送用の電気自動車(EV)や電動自転車の購入などに充てる。米バージニア州アーリントンの第2本社で再生可能エネルギーを利用したオール電化の冷暖房システムを導入するなど、持続可能な建築プロジェクトにも使う。

アマゾンは、気候変動に関する国際的な枠組み「パリ協定」の目標年より10年早い2040年までに事業活動からの二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目指している

物流事業でカーボンニュートラルを目指すプロジェクト「シップメント・ゼロ」を進めており、30年までにその50%を達成するとしている。また、30年までに事業活動で使う電力を100%再生可能エネルギーに切り替える計画。この目標は5年早い25年に達成できる見込みだとしている。

[3]テスラ車の衝突死亡事故、米当局「運転支援機能は作動せず」

画像出典:米Wall Street Journal
画像出典:米Wall Street Journal

米テスラの電気自動車(EV)が2021年4月に米テキサス州で起こした死亡事故について、米運輸安全委員会(NTSB)は、運転支援システム「オートパイロット」の1つの機能である自動操舵が作動不可能な状況だったとする初期調査結果を公表した。ロイター米CNBCが5月10日に報じた。

NTSBによると、オートパイロットは、「自動操舵機能」と「交通量感知型クルーズコントロール機能」で構成されている。前者は左右の走行方向を制御、後者は速度と前方車との距離を制御する。

事故現場で同じモデルの車両と同じソフトウエアを用いて状況を再現した結果、前者の自動操舵機能は事故現場では使用できないことが分かった。後者のクルーズコントロール機能は作動していた可能性があるという。オートパイロットは2つが作動して初めて機能していると見なされるという。テスラは、「自動操舵は車線がはっきり表示された道路でハンドル操作を支援する機能で、常に使えるわけではない」と説明している。

報告書は事故の原因と状況について結論に達しておらず、NTSBと地元警察は調査を継続する。

4月17日夜、テキサス州ヒューストン近郊で高速走行していたテスラのEVが道路から逸れ、木に衝突して炎上。乗車していた男性2人が死亡した。2人は助手席と後部座席で遺体となって発見された。地元警察は、事故当時運転席には誰もおらずオートパイロット機能を使っていた可能性があると報告した。

これに対し、テスラのイーロン・マスクCEOは「オートパイロット作動に必要となる路面の車線表示がこの道路にはなかった」と述べ、事故とオートパイロットの関連を否定した。

NTSBによると、車の所有者の自宅にある防犯カメラに収められた動画には、所有者が運転席に、もう1人が助手席に座る様子が映されているという。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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