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アマゾンCEO「地球上で最高の雇用主を目指す」、アップルは森林再生の220億円基金

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

筆者が注目した海外発最新テクノロジーニュース2本をダイジェストで

[1]アマゾンCEO「地球上で最高の雇用主を目指す」、最後の年次書簡で

米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)は4月15日、株主宛ての年次書簡を公開した。同氏は2021年7〜9月期にCEOを退任して取締役会長に就くことを明らかにしており、これが現職在任中最後の年次書簡となる。

この中で同氏は、21年4月9日に米南部アラバマ州の物流施設で行われた労働組合結成の是非を問う従業員投票に触れ、「反対多数という結果になり、我々と従業員との強固な関係を確認できた」と記した。「だが、安心したわけではない」とし、「従業員の成功のためのより良いビジョンが必要だ」と述べた。

一方で、「従業員への配慮に欠ける労働環境」との一部メディア報道については否定。今後は「地球上で最も顧客第一主義の企業」という従来の目標に加え、「地球上で最高の雇用主」と「地球上で最も安全な職場」を目指すと表明した。

その上で、「発明家である私は取締役会長としてチームと共に働き、目標達成のために発明を通して協力していくことにワクワクしている」と述べた。

「アマゾンは瑣末な事柄に柔軟だ。だがビジョンについては頑固だ。我々は心に決めたことを失敗したことはなく、新たな目標においても失敗はしない」とも述べ、強い決意を表明した。

[2]アップル、森林再生に投資する220億円基金「レストア・ファンド」

米アップルは4月15日、森林再生プロジェクトに投資する2億ドル(約220億円)の基金「レストア・ファンド(再生基金)」を創設したと明らかにした。大気中から二酸化炭素(CO2)を削減するとともに、収益化も目指し、投資家への金銭的リターンも生み出すという。

画像出典:米Apple
画像出典:米Apple

同基金には環境保護の非政府組織(NGO)コンサベーション・インターナショナルや米金融大手のゴールドマン・サックスも参画する。同NGOも出資し、ゴールドマンは基金の管理を行う。少なくとも年間100万トンのCO2削減を目指すとしている。

アップルは2020年7月、事業活動や製造サプライチェーン、製品ライフサイクルの全般で30年までにCO2排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すと明らかにした。

同社はオフィスや直営店、データセンターをすべて再生可能エネルギーで稼働させており、自社の企業活動ではすでにカーボンニュートラルを達成している。

今後は同様の取り組みをスマートフォン「iPhone」などの同社製品の製造を手がける数百社の取引先すべてに広げるとしている。

21年3月31日には、電力を100%再生可能エネルギーに切り替えると表明した製造パートナーが110社を超えたと発表。米カリフォルニア州で米最大級の蓄電施設を建設していることも明らかにした。新設した太陽光発電所で日中に発電した電力をため、同州クパチーノにある本社屋に供給するという。

サプライチェーンを通じて30年までに直接的に削減できるCO2は全体の75%だとアップルはみている。残りの25%を今回の基金を活用し解決するとしている。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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