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グーグル、メディア大手と記事の対価支払いで合意、フェイスブックは豪で記事の共有禁止、対価支払いに反対

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 今日、筆者が注目した海外発の最新テクノロジーニュース2本をダイジェストで

[1]グーグル、米メディア大手のニューズと記事の対価支払いで合意

 「メディア王」ルパート・マードック氏が会長を務める米メディア大手ニューズ・コーポレーションと米グーグルが、ニュース配信に関するパートナーシップ契約を締結した。ニューズが2月17日に明らかにした

 3年間の契約で、グーグルの新たなニュースサービス「ニュース・ショーケース」に、ニューズ傘下のウォール・ストリート・ジャーナル紙やニューヨーク・ポスト紙など米英豪メディアのニュースを配信する。グーグルは記事の使用料を支払う。

 両社はサブスクリプション(定期購読)プラットフォームの開発や広告収入の分配、グーグル傘下の動画投稿サービス「YouTube」のビデオ報道への投資といった分野でも合意した。

画像出典:米News Corp
画像出典:米News Corp

 米CNBCによると、ニューズはこれまで、グーグルなどIT大手が対価を払わずにコンテンツをサイトに表示していると批判していた。グーグルは批判をかわすため、報道機関に記事の対価を支払うニュース・ショーケースをドイツやブラジルで開始した。2021年2月5日にはオーストラリアでもこのサービスを始めた。

 一方、オーストラリアでは20年12月、グーグルや米フェイスブックを念頭に、IT大手に対し記事使用料の支払いを事実上義務付ける法案が議会に提出された。

 グーグルは法案に反発している。同社のオーストラリア・ニュージーランド担当幹部のメル・シルバ氏は1月22日、豪議会の委員会に出席し、「法が成立した場合、グーグルは検索サービスをオーストラリアでやめざるを得なくなる」と述べていた。

[2]フェイスブックが豪州でニュース記事の共有禁止、対価支払いの法案に反対

 米フェイスブックは2月17日、オーストラリア国内のサービスで、報道機関や利用者がニュース記事を共有・閲覧することを禁じると明らかにした。豪国内で同国報道機関と海外報道機関の記事が表示されなくなる。また、豪報道機関の記事が世界中で閲覧できなくなる。

画像出典:米Facebook
画像出典:米Facebook

 同国ではフェイスブックや米グーグルを念頭にIT大手に対し記事使用料の支払いを事実上義務付ける法案が議会に提出されている。フェイスブックはこの法案に反対の立場を取っている。

 同社は声明で、「(法案は)我々のプラットフォームと報道機関の関係を根本的に誤解している」と述べている。

 「この現実を無視する法に従うか、記事の共有を禁止にするかの厳しい選択に迫られていたが、残念ながら後者を選んだ」と説明。

 「報道機関は自主的に記事をフェイスブックに投稿しており、サブスクリプションサービスの販売につなげている。グーグル検索と報道機関の関係とは異なる」と主張している。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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