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フェイスブックが「Clubhouse」に似たサービス開発中、TikTok米事業売却は無期延期に

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 今日、筆者が注目した海外発の最新テクノロジーニュース3本をダイジェストで

[1]フェイスブックが音声SNS「Clubhouse」に似たサービス開発中

 米フェイスブックが、「Clubhouse(クラブハウス)」に似た音声チャットサービスを開発中だと、米ニューヨーク・タイムズが2月10日に報じた。

 マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)が音声コミュニケーション型のサービスに興味を抱いているという。幹部らがさっそく開発を指示したと関係者は話している。社内で「Fireside(炉辺)」と呼ばれている。開発は初期段階だという。

 フェイスブックは競合人気アプリの機能をまねることで知られるとニューヨーク・タイムズは報じている。

 2016年には傘下写真共有アプリ「インスタグラム」に、競合「スナップチャット」の目玉機能をまねた「ストーリーズ」を導入した。

 20年にはTikTokのような動画機能「リールズ」を導入。20年はビデオ会議サービス「Zoom」の人気が高まったが、素早くグループビデオチャット「ルーム」を開発・導入したと報じている。

[2]TikTok米事業売却が無期延期に、バイデン大統領が見直し着手

 動画投稿アプリ「TikTok」の米国事業の売却計画が無期限延期になったと、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が2月10日に報じた。バイデン米大統領が、広範囲に及ぶ見直しに着手したためだという。

写真:ロイター/アフロ

 トランプ前大統領は、「1億人もの米国人利用者の個人情報が中国政府に渡っており、国家安全保障上の懸念がある」と主張。米事業を親会社の中国・北京字節跳動科技(バイトダンス)から切り離し、米企業に売却するよう命じていた。

 TikTokは米オラクルや米ウォルマートなどと協議を重ねる一方、アプリのダウンロード禁止措置の差し止めを連邦地裁に求めた。

 首都ワシントンの連邦地裁は配信禁止措置は「行き過ぎの可能性がある」として一時的に差し止める命令を下した。TikTokは2020年11月、首都ワシントンの連邦控訴裁に売却命令の無効を求める申し立ても行った。

 関係者は、国家安全保障当局者とバイトダンス側の協議は今後も続くと話しているという。TikTokを巡る問題の解決に関し、政府側が緊急に決定するものは何もないようだとWSJは報じている。

[3]ウーバーの10〜12月期、3四半期連続減収も「イーツ」の売上高3.2倍

 米ウーバーテクノロジーズは2月10日、2020年10〜12月期の決算を発表した。売上高は前年同期比16%減の31億6500万ドル(約3310億円)で、3四半期連続の減収となった。純損益は9億6800万ドル(約1012億円)の赤字で、赤字額は前年同期の10億9600万ドルから縮小した。

 配車を含む「移動サービス部門」の売上高は同52%減の14億7100万ドル。料理宅配「イーツ」などの「配達サービス部門」の売上高は同3.24倍の13億5600万ドル。

 新型コロナウイルスによる在宅の広がりで、これまで2四半期続けて「配達」が「移動」を上回っていたが、10〜12月期は逆転した。取扱高は配達が同2.3倍だったのに対し、移動は同50%減少した。

写真:ロイター/アフロ

 ウーバーが利益水準の指標として重視している調整後EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は、4億5400万ドルの赤字だったものの、前年同期の赤字額6億1500万ドルから縮小。配達サービスの調整後EBITDAの赤字額が前年同期の4億6100万ドルから1億4500万ドルに縮小した。

 ウーバーは20年12月、自動運転開発部門「ATG」を米アマゾン・ドット・コムなどが出資する同業の米オーロラ・イノベーションに売却すると発表。同12月、「空飛ぶタクシー」の開発部門「エレベート」をトヨタ自動車などが出資する電動垂直離着陸(eVTOL)機メーカー、米ジョビー・アビエーションに売却すると明らかにした。これらの売却手続きを21年1月に完了したという。

 一方、20年7月には米料理宅配市場で4位の米ポストメイツを買収すると発表。21年2月にはアルコール飲料の宅配を手掛ける米ドリズリー(Drizly)を買収することで合意したと明らかにした。「イーツ」に統合する。

 米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ウーバーのダラ・コスロシャヒCEO(最高経営責任者)は2月10日、アナリスト向け電話会見で、「パンデミックは消費者のオンデマンド配達需要を増大させた。大きな可能性がある配達サービスに本格的に取り組んでいる」と述べたという。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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