米アップルは昨年末、中国のモバイルアプリ配信ストアで、当局の認可を得ていない3万9000本のゲームを削除したと、ロイターなどが報じた。

 1日の削除件数として過去最多。1500本の人気ゲームのうち、削除されなかったのはわずか74本だったという。

有料ゲームに認可制導入

 中国では、2016年に有料モバイルゲームアプリに認可制を導入した。アプリそのものを有料にしているもののほか、アプリ内課金を導入しているものも対象にしている。

 この規制に従い、中国・華為技術(ファーウェイ)や中国・小米(シャオミ)といったスマートフォンメーカーは自社サービス内で未認可ゲームを削除した。

 一方、アップルは多くの未認可アプリを容認してきた。なぜ、容認したのか、あるいはそれが可能だったのかは分からない。

 しかし、同社は中国当局と共同歩調をとる形で規則を強化したとロイターは報じている。同国で認可取得できる有料アプリはごく一部に限られるという状況だ。

当局がネット規制さらに強化

 中国当局は昨年、ネットの規制に本格的に乗り出し、コンテンツの管理や検閲をいっそう強化するようになった。

 12月初旬には、サイバーセキュリティー法を所管する国家インターネット情報弁公室が、米旅行サイトのトリップアドバイザーなど約100種類のスマートフォンアプリを排除したと伝えられた。

 当局はこれらを「違法アプリ」と説明するが、米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、どのような規則に違反したのか明らかにしていない。同紙は、中国と米国などの貿易摩擦の高まりが背景にあるのではないかと報じている。

アップルの中国ゲーム販売、伸び鈍化

 20年にアップルが中国のApp Storeから削除したゲームアプリは少なくとも13万3000本に上るとみられている。この数は19年の約2万5000本を大きく上回る。

 これに伴い、同社の中国ゲームアプリ事業は苦戦を強いられている。20年1月から11月までのアップルの中国ゲームアプリ売上高は130億ドル(約1兆3700億円)で、19年の同じ期間から14%増加した。

 しかし、その成長率は前年の21%を下回る。また20年におけるアップルの世界ゲームアプリ売上高は前年比26%増加した。中国市場での伸び率はこれを大きく下回る。

中国は世界最大のアプリ市場

 英フィナンシャル・タイムズ によると、中国におけるApp Storeの年間売上高は164億ドル(約1兆7300億円)。中国アプリ市場はアップルにとって世界最大。

 このうち、同社がアプリ運営企業から手数料を受け取る「デジタルグッズ・サービス」で金額、ダウンロード件数ともに最も多いのがゲームだ。

*(このコラムは「JBpress」2020年12月25日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)