トランプ氏、1月20日以降 Twitterで「一般人」 激戦ついに終結

SNS大手の法的保護を制限 トランプ氏が大統領令に署名(写真:ロイター/アフロ)

 米大統領選で勝利を宣言したジョー・バイデン氏が2021年1月20日に就任した後、トランプ大統領は米ツイッターなどのSNS上で一般人と同等の扱いになるという。

特例措置を解除

 ロイターによると、ツイッターは現在、公職に就く人やその候補者の規約違反の投稿について、たとえ問題があったとしても、「投稿には公共性もある」として削除せず、注意喚起の文章とともに引き続き読めるようにしている。

 つまり、政治家や議員、政府関係者のツイートのうち、通常であれば削除されるべき規約違反のものでも例外的に残している。ただし、注意喚起をツイートの手前に表示し、利用者がクリックしなければ見えないようにしている。

 こうすることで、「いいね」や共有を制限し、誤った情報の拡散を抑える。同時に一般利用者が議論できる余地を残しているのだという。

 だが、この措置が適用されるのは現職者や候補者のみ。その地位から退いた人は一般人と同様に扱う。もし規約違反の投稿があれば、削除対象になるという。

 ロイターによると、米フェイスブックにも同様に、第三者監督機関による審査の対象から政治家や公職者などの投稿を除外する規定がある。

 フェイスブックはトランプ氏アカウントの今後の扱い方について明言していないものの、恐らく除外対象から外れるだろうとロイターは報じている。

暴力の賛美の投稿に注意喚起のラベル

 一方、米ニューヨーク・タイムズは、今年はトランプ大統領とツイッターなどのSNS大手との間で激しい攻防が繰り返された年だと報じている。

 発端は5月だった。ツイッターは同26日、カリフォルニア州の郵便投票に関するトランプ氏のツイートに事実確認を促す注記をつけた。

 同氏はこれに激怒。利用者の投稿についてSNS企業の法的責任を免除する一方、自らの裁量による投稿の削除を認めている「通信品位法(CDA)230条」の撤廃や改正を狙い、大統領令に署名した。

 その数日後、ツイッターはトランプ氏のツイートに再度注記をつけた。今度はミネアポリスで白人警官に取り押さえられた黒人男性が死亡した事件に関する投稿。同氏はデモの参加者を「悪党」と呼び、「略奪が始まれば、銃撃も始まる」と書き込んだ。

 これに対し、ツイッターは「暴力の賛美に関するツイッターのルールに違反しています」と注記をつけ、利用者が「表示」をクリックしなければ閲覧できないようにし、コメントなしのリツイートや「いいね」、返信を禁止した。

トランプ氏とツイッターの戦い激化

 トランプ氏とツイッターの戦いは、大統領選が始まるとさらに激しくなった。連邦最高裁は10月28日、ペンシルベニア州の選挙管理委員会が投票日から最大3日後に到着した郵便投票を集計することを認める判断を下した。

 トランプ氏は11月2日、この判断について「不正がはびこり、街中で暴力が起きる」と投稿した(ニューヨーク・タイムズ)。

 ツイッターはその36分後、「この投稿の一部またはすべては真偽を問われており、選挙や市民活動に関し誤解を招く恐れがあります」との注意喚起ラベルを付けた。

 ニューヨーク・タイムズの別の報道によると、その後いったん静まっていたトランプ氏のツイートは11月4日未明から再び活発になった。内容は、不正行為や、選挙結果が出ていない州での勝利をほのめかすものなど、多くが根拠のないものだったとする。

 このころから、24時間休みなしの戦いが始まったという。同3日の投票締め切り時刻から同6日午前までの計44件のツイートとリツイートのうち、ツイッターは15件に注記をつけた。

 これにトランプ氏は、「ツイッターは制御不能だ。政府からの贈り物である『通信品位法230条』がそうさせている」と書き込んで対抗。ただ、ツイッターはこれには注記をつけなかった。

 こうしたトランプ氏やトランプ陣営の、誤解を招く恐れのある投稿については、フェイスブックも対策に乗り出している。

 トランプ氏は11月4日、「我々は勝っている。だが彼らが汚い方法で勝利を奪おうとしている。締め切り後は投票できない」と書き込んだが、フェイスブックはこれに「現在集計作業が行われています。選挙の結果はまだ予測できません」との注記をつけていた。

 そして11月7日、ABC、CBS、NBC、CNNなどの米主要メディアが、バイデン氏の当選が確実になったと一斉に報じた。

 それ以降、フェイスブックはトランプ氏の投稿に以下のような注記をつけ続けている。

  • 「ジョー・バイデン候補に2020年米国大統領選挙の当確が出ました」
  • 「米国には選挙の公正性を保全するための法律、手続き、団体があります」

 しかし1月20日以降、我々と同様にSNS上で「一般人」となるトランプ氏の投稿に、こうした注記がつくことはないのだろう。

  • (このコラムは「JBpress」2020年11月10日号に掲載された記事をもとにその後最新情報を加えて再編集したものです)