「App Store経済圏」の実態示すデータ 年間売上総額55兆円、小売り・サービス8割占める

(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルは先ごろ、アプリ配信サービス「App Store」を通じて昨年1年間に生み出された売上高の合計が5190億ドル(約55兆5000億円)に上ったとする調査結果を公表した

「商品・サービス」アプリ44兆円

 この中で最も多くの金額を占めたのは、小売りや旅行、配車、料理宅配などの「商品・サービス」。その金額は4130億ドル(約44兆1800億円)で全体の約8割を占めた。

 このうち、米ベストバイや米ターゲット、ユニクロ、ZOZOTOWNのような小売大手の「物販アプリ」を通じた売上高が2680億ドル、米エクスペディアや米ユナイテッド航空など「旅行アプリ」の電子決済で支払われた運賃・宿泊料が570億ドル。

 また、米ウーバーテクノロジーズや米リフト、JapanTaxiのような「配車・乗車送迎アプリ」による決済金額は400億ドル、そして、ウーバーや米ドアダッシュ、出前館といった「料理宅配アプリ」の売上高が310億ドルだったという。

 なお、アップルの「Safari」や米グーグルの「Chrome」といったウェブブラウザーで購入された商品などの金額は除外している。

デジタルグッズ・サービスは6.5兆円に

 2番目に金額が大きかったカテゴリーは、音楽・動画配信や電子書籍、ゲームなどの「デジタルグッズ・サービス」で、610億ドル(約6兆5000億円)。

 アップルはこのデジタルグッズ・サービスで、開発者やサービス運営企業から手数料を受け取っている。例えば、有料アプリやアプリ内課金の場合、アップルの取り分は販売額の30%、アプリ内のサブスクリプションサービスは、1年目が同30%で、2年目以降が15%。

 つまり、このデジタルグッズ・サービスのアプリによって開発者などは、消費者が実際に支払った金額の70~85%をアップルから受け取っている。

 アップルはこれについて今年1月、開発者などにもたらされた金額が、2008年にApp Storeを立ち上げて以来、約1550億ドル(約16兆5800億円)となり、うち4分の1(約387億5000万ドル)が2019年内にもたらされたと報告していた図1)。

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 だが、今回のレポートで同社は、「アップルから開発者に直接支払われた金額は、アプリを通じて販売された商品やサービスの売上高などを含んだ膨大な金額から見れば、ほんの一部にすぎない」としている。

 また、このデジタルグッズ・サービスの売上高は、有料動画配信のようにアプリ以外で料金が支払われ、主にApp Storeのアプリで利用されるサービスも含まれているという。

 つまり、これは「アップルの決済システムを介さない販売金額も含めた『App Store経済圏』の実態を示すレポート」とのこと。

85%以上は外部の開発者や事業者に

 最後に、3番目に規模が大きいカテゴリーは「アプリ内広告」で、昨年の売上高は450億ドル(約4兆8100億円)だった。こちらはゲーム内広告が44%を占めている。

 それ以外は、米ツイッータや米ピンタレストのような、広告によって収益を得ているアプリ。また、新聞の電子版のように広告収入とアプリ内課金の両方で収益を得ているものもあるという。

 App Store経済圏の昨年の売り上げ総額5190億ドルのうち、85%以上は外部の開発者や事業者の手に渡ったとアップルは説明している。

 前述したとおり、同社はデジタルグッズ・サービスのアプリ開発者などから手数料を得ている。しかし、App Store開始以来、デジタル以外の商品・サービスや広告収入からは手数料を徴収していないという。

 同社は4月、アプリ配信や音楽配信などの同社サービスの提供国を拡大した

 App Storeは同社サービス事業の中で最も売り上げ規模が大きい。現在は合計175の国と地域で展開しており、1週間の訪問者数は約5億人。約200万本のアプリを提供している。

  • (このコラムは「JBpress」2020年6月17日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)