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コロナ禍でウーバーなどの配車サービス大打撃、アマゾンが雇用引き受け

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 米ブルームバーグによると、配車サービス大手の米リフトは米アマゾン・ドット・コムと連携し、配車ドライバーに倉庫業務などのスタッフとして働いてもうらう計画だという。

アマゾン、リフトのドライバーを臨時雇用

 契約の詳細は定かではないが、おそらくリフトのドライバーの中から希望者を募り、アマゾンが雇用するという取り決めをしたようだ。

 アマゾンでは倉庫従業員や配送員のほか、ネット注文品を傘下スーパー「ホールフーズ・マーケット」の商品棚からピックアップして、顧客に手渡す「ショッパー」という仕事を用意するという。

外出禁止令で配車需要急減

 新型コロナウイルス感染拡大対策で、自治体が外出禁止令や自己隔離勧告などを出す中、配車サービスへの需要が急減している。

 米ウォールストリート・ジャーナルは、米調査会社エジソン・トレンズのレポートを基に、米ウーバーテクノロジーズのサービスへの3月16日までの1週間の支出額が前週から21%減少したと報じている。米リフトでは同19%減少し、2社が本社を置くカリフォルニア州では、いずれも同27%減少したという。

 ブルームバーグも、配車サービスの運賃が11%低下し、需要は約20%減少したと伝えている。このうち、ウーバーには料理宅配サービス事業があり、そちらの需要増で配車サービスの落ち込みを一部補っているという。

ウーバーCEO、「業績への影響は軽微」

 ロイター通信によると、ウーバーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は先ごろ、新型コロナウイルスの業績に及ぼす影響は小さいとの認識を示した。

 外出が減るという点で配車サービスは打撃を受けるものの、料理宅配の需要は増えると同氏はみている。同社の事業は多様性があり、サプライチェーンに依存しないモデルが強みだとしている。

 一方で、リフトには料理宅配事業がないため、今回の新型コロナウイルスによる需要減を補えないと指摘されている。

アマゾン、米国で10万人を新規雇用

 こうした中、ネット通販への需要が急増しており、アマゾンは人手不足に陥っている。同社は先ごろ、米国内の物流施設と配送業務で、新たに10万人を雇用すると発表。

 併せて、米国でこれまで15ドル(約1610円)としていた、物流拠点と配送ネットワークで働く人の時給を4月末まで2ドル増やして17ドル(約1830円)にし、物流施設の時間外労働賃金を2倍にすることも明らかにした。

リフト、地域社会への支援活動

 リフトは自治体や医療機関、非営利団体と連携し、地域社会への支援活動を行うことも明らかにしている

 例えば、子どもや外出できない高齢者に食事を届けたり、持病を持つ高齢者に医療用品や検査キットを配達したり、医療機関への送迎サービスを行ったりするという。

 リフトは、これらの取り組みを通じて、ドライバーが収入を得る機会を提供するとしている。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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