米国で最低時給を1700円に引き上げたアマゾンの狙いとは?

写真出典:Amazon.com

 米アマゾン・ドットコムは今年10月、米国従業員の最低賃金を引き上げると発表した

35万人以上が対象

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、これまでアマゾンの物流施設などで働く従業員の初任時の時給はおおむね、11~12ドルだった。

 アマゾンは、こうした最低時給を11月1日から15ドル(約1700円)に引き上げた。この恩恵を受けるのは25万人以上の従業員。

 また、年末商戦時に臨時雇用する10万人以上にも、新たな最低時給を適用する。派遣社員も対象になる。

 このほかアマゾンは、ウェブサイトで、現在15ドル以上が支給されているパートタイム従業員とカスタマーサービス従業員の時給も上がると説明している。

営業利益への影響は1~2%程度

 これらの賃上げがアマゾンの業績に及ぼす影響については、明らかになっていない。

 だが、前述したウォールストリート・ジャーナルの記事は、アマゾンの営業利益の目減り分はわずか1~2%にとどまるとするアナリストの試算を伝えている。

 これに対し、アマゾンの売上高や利益は、上昇の一途をたどっている。つまり、今回の賃上げの影響は軽微だという。

 例えばアマゾンの売上高は、前年比で30~40%増加している。

 今年4~6月期は、最終利益が25億3400万ドルとなり、四半期ベースで初めて20億ドルの大台を突破(図1)。1年前の約13倍に拡大した。

 また、営業利益は、29億8300万ドルで、同約5倍。こちらも四半期ベースで過去最高となった。

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労働力獲得競争

 一方で、米国では失業率が歴史的な低水準で推移しており、労働市場の競争が激化している。今回の賃上げは、年末商戦に向けて各社が労働力獲得競争を繰り広げる中、アマゾンに有利に働くと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

 小売り大手のターゲットは先ごろ、年末商戦に向け、12万人の臨時職員を雇い入れると発表した。物流大手の米UPSと米フェデックスも、それぞれ10万人と5万5000人の臨時雇用を計画している。

 小売り最大手のウォルマート・ストアーズは、今年1月、米国従業員の初任時給を11ドルに引き上げると発表。

 これに続き、ターゲットも9月に、初任時給を昨年時の11ドルから12ドルに引き上げた。ターゲットは2020年までに、これを15ドルに引き上げる計画だ。

 アマゾンの今回の賃上げによって、米国の倉庫業務業界における、同社の時給水準は上位25%以内に入った。このことの他社に及ぼす影響は、決して小さくないと、ウォールストリート・ジャーナルは指摘している。

  • (このコラムは「JBpress」2018年10月4日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)