iPhoneの後継となる新たな製品を開発か ヒントはARメガネ技術の企業買収

(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 海外のメディアや通信社の報道によると、米アップルは、AR(augmented reality、拡張現実)用メガネのレンズ(ディスプレー)を開発する米企業を買収した。

ホログラフィー技術の新興企業を買収

 アップルの新製品開発動向については、かねてから同社の秘密チームが、AR技術を用いるスマートメガネ、あるいはメガネ型ウエアラブル機器を開発していると伝えられていた。

 アップルは今回の買収について認めている。このことから、同社はiPhoneの後継となる新たな製品を市場投入する意欲を今も持ち続けているようだと、英ロイター通信英フィナンシャル・タイムズが伝えた。

 このニュースを最初に伝えたロイター通信によると、アップルが買収したのは、米コロラド州ロングモントに拠点を構える「アコニア・ホログラフィクス(Akonia Holographics)」という企業。

 この企業の創業は2012年。空間に立体的な映像を映し出す光学技術であるホログラフィーの研究者によって設立された。

 設立当初は、ホログラフィーのデータストレージに関する技術の研究開発をしていたが、その後、開発の重点をARメガネ用ディスプレーに移した。

 アップルは、今回の買収について、取引金額や買収時期などの詳細を明かしていない。だが、AR業界のある幹部は、アコニア・ホログラフィックスの活動が、この半年間で“とても静かになった”と話している。

 このことから、買収は今年前半だった可能性があるという。

クックCEO、ARに積極投資

 ARは、目の前の現実の環境にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術。一昨年に大ヒットしたモバイルゲーム「ポケモンGO」などが、これを利用していることで知られる。

 産業分野では、メガネ型や透過型ヘッドマウントディスプレーなどの情報機器を使い、さまざまな情報を表示すれば、工場などの作業現場で業務効率が向上すると期待されている。

 これと似た技術として、VR(virtual reality、仮想現実)もあるが、こちらは目の前にある実際の場面から離れ、完全にデジタル世界に没入するという点がARと異なる。

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 アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、かねてから前者のARに投資していることを明かしていた。

 同氏はABCニュースのインタビューに応じ、「VRとARはともに非常に興味深い技術。しかし私の見解では可能性があるのはARだ。おそらく格段に大きな可能性だろう」とも述べていた。

 また、アップルのモバイルOSでは、AR用アプリの開発を支援する「ARKit」を導入した。これにより開発者は、iPhoneなどのiOS端末に搭載される各種高性能電子部品と連携するARアプリを容易に作れるようになった。

買収した技術、数年後にアップル製品で登場

 アップルのAR分野に向けた企業買収や他社との連携については、これまでにもさまざまに報じられている。

 例えば昨年12月には、AR用ヘッドセットを手がけるカナダの新興企業「バーバーナ(Vrvana)」を買収したと伝えられた。ドイツの光学機器大手、カールツァイスと連携してメガネ型端末を開発しているとも伝えられている。

 ロイター通信は、アップルが買収した企業の技術は、数年後、アップル製品に組み込まれ、世に送り出される傾向があると伝えている。

 例えばアップルは2013年に、3Dモーショントラッキング技術を手がけるイスラエルのプライムセンス(PrimeSense)を買収した。

 同社は昨年市場投入したiPhone Xに、同様のセンサー技術を組み込み、顔認証機能「Face ID」を実現した。

  • (このコラムは「JBpress」2018年8月31日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)