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iPhone、厳しい市場で5位を死守 スマホが3カ月に1億台売れる激戦中国

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
中国・北京のApple Storeスタッフ(写真:ロイター/アフロ)

再び1億台超え、販売価格は15%上昇

 米国の市場調査会社IDCがまとめた中国のスマートフォン市場レポートによると、今年4〜6月期における出荷台数は1億500万台となり、1年前から5.9%減少した。

 IDCは先のレポートで、世界最大のスマートフォン市場である中国の低迷により、世界全体の出荷台数が減少したと報告していた。

 中国の出荷台数は、1〜3月期に1億台を下回った。これは、2013年10〜12月以降初めてのことだった。

 しかし、この4〜6月期は、1億台を上回り、減少幅が縮小した。大手メーカーの新製品が市場投入され、これまで動きが鈍っていた販売チャネルが正常な状態に戻ったという。

 また4〜6月期は、中国スマートフォン市場にとってもう1つ明るい材料があった。それは平均販売価格が1年前から15%上昇したこと。

 これは、「自分のニーズに合った製品があれば、多少多くの金額を支払ってもかまわない」という昨今の消費者心理を表しているという。

 カメラの性能が高いスマートフォンに人気が集まっているのはもちろん、最近はゲームに重点を置いたモデルが登場しており、これが中国の消費者に受けている。

 また、消費者のスマートフォン利用時間も増えているという。

 こうした消費者心理を背景に、メーカー各社はデザイン、品質、ブランドイメージといった付加価値に力を注ぎ、買い替えを促していく必要があると、IDCは指摘している。

アップルは12.5%減

 今年4〜6月期のメーカー別出荷台数ランキングは、1位から、ファーウェイ(華為技術)、オッポ(広東欧珀移動通信)、ビーボ(維沃移動通信)、シャオミ(小米科技)、米アップルの順。

 この順位は、昨年と同じだ(IDCの2017年Q4レポート)。

 5位のアップルは、出荷台数が700万台で、前年同期比12.5%減。iPhoneが他社製品に比べ高額であることがその要因。

 ただし、中国におけるアップルブランドは依然強力であることから同社の中国事業は好転する可能性があるとIDCは分析している。

大手のシェア、軒並み拡大

 中国では上位メーカーのシェアが今後も拡大し、その一方で小規模メーカーのシェアが縮小していくと、IDCは見ている。

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 大手メーカーは、最近、実店舗販売とネット販売といったマルチ・チャンネルの販売戦略や、さまざまな顧客層をターゲットとするマルチ・セグメントの製品戦略を展開している。

 これらが小規模メーカーの競争力を低下させているという。

 例えば、6位以降の「その他のメーカー」の合計出荷台数は、前年同期比で53.8%減と大きく落ち込んでいる。

 これに対し上位の中国メーカーはいずれもプラス成長。とりわけ、首位のファーウェイは同21.7%増と、大きく伸びた。

  • (このコラムは「JBpress」2018年8月9日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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