本当か Appleブランドの自動車が7年以内に登場との観測

インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ

 アップル製品の市場動向やサプライチェーン情報に詳しいアナリスト、ミンチー・クオ氏によると、米アップルが開発しているとされる自動運転車「Apple Car(通称)」は2023年~2025年にも、市場投入される見通しという。

 同氏は、独自に得た情報を基にアップルの新製品やその発売時期を当ててきたことで知られるアナリスト。

 以前は台湾KGI証券に勤めていたが、その後、中国TFインターナショナル証券に移籍した。その同氏が先月、投資家に宛てて送った調査ノートで報告した。

「アップルは自動車も再定義する」

 クオ氏は、Apple Carがアップルの次の花形製品になると予測している。

 新たなテクノロジーによって、自動車市場が再定義され、それに伴い、非常に大きな買い替え需要が生まれるという。

 これは、アップルが10年前にスマートフォンを市場投入し、携帯電話市場を大きく変えたことに似ているという。

 また、AR(augmented reality、拡張現実)をはじめとするアップルの最先端技術が、自動車を再定義するため、Apple Carは大きな差異化が図れるとも同氏は指摘。

 さらに同氏は、次のようにも報告している。

 「アップルは消費者向けエレクトロニクス製品の分野で、ハードウエア、ソフトウエア、サービスを組み合わせて提供することがうまく、この点で競合に勝っている。おそらく、その能力は自動車分野でも競合を上回る」

 「アップルはApple Carによって、巨大な自動車ファイナンス市場にも参入でき、サービス事業を著しく成長させることができる」

 クオ氏の調査ノートの内容は興味深いと米メディアは伝えている(ビジネスインサイダーマックルーマーズ)。

 というのも、ここ最近、アップルの自動運転車開発プロジェクトは、大きく軌道修正されたと報じられていたからだ。

アップルのTitanプロジェクト

 これまでの報道によると、アップルは2014年に「Titan(タイタン)」と呼ばれる秘密の自動運転車開発プロジェクトを立ち上げた。

 しかし、同プロジェクトは、さまざまな問題に直面し、計画は岐路に立たされた。そのきっかけの1つが、プロジェクトの方向性を巡るマネージャー間の意見の食い違いだと言われている。

 そして、アップルの幹部はTitanチームに対し、2017年末ごろという期限を設け、自動運転システムの基幹部門を成すソフトウエアの実現可能性を検証するよう指示した。

 そのうえで幹部は、同社が計画どおり自動運転車を自社開発するのか、あるいはソフトウエアだけを開発し、自動車メーカー各社に提供する事業を進めるのか、いずれかを決定するよう求めていた。

 今年5月の報道(米ニューヨーク・タイムズ)によると、その後アップルは、ソフトウエア開発に注力する方針を打ち出し、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンと業務提携した。

 これは、フォルクスワーゲン・グループの子会社であるイタリアの自動車デザイン会社、イタルデザイン・ジウジアーロの研究施設で、フォルクスワーゲンのバン「T6 Transporter」をベースにした自動運転車を開発するというもの。

 その目的は、市販車の開発ではない。アップルは、これを、米シリコンバレーにある2つの社屋間を往復する、従業員用小型バスとして使う計画という。

テスラに移籍していたエンジニアがアップルに復帰

 ただ、アップルの自動運転車開発については、先ごろ、カリフォルニア州で、公道試験走行の認可を受けている車両の台数が、55台に増えたと伝えられた。

 この数は、米ゼネラルモーターズ(GM)傘下のGMクルーズに次いで多く、米グーグル系のウェイモを上回っている(図1)。

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 また最近は、アップルの元ハードウェアエンジニアで、米電気自動車メーカーのテスラに移籍していたダグ・フィールド氏という人物がアップルに復帰するとも伝えられた。

 英ロイター通信によると、フィールド氏は、Titanプロジェクトの責任者であるボブ・マンズフィールド氏とともに業務に当たる。

 前述したマックルーマーズの記事は、「もし、クオ氏の今回の報告が正しければ、おそらく、アップルが開発中の自動運転車用ソフトウエアは、将来のどこかの時点でアップルブランドの自動車に搭載されるのだろう」と伝えている。

  • (このコラムは「JBpress」2018年8月16日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)