アマゾンのIoT戦略を担う「Echo Dot」

アマゾンの音声アシスタント端末の小型モデル「Echo Dot」

かねて報じられていたとおり、米アマゾン・ドットコムは9月14日、スピーカー型の音声アシスタント端末「Amazon Echo(アマゾン・エコー)」を英国とドイツで発売すると発表した

6台セットと12台セットも販売

Echoは同社が2014年11月に米国で発売し、これまで様々なサービスを追加して販売を拡大してきた。だが同社が米国外でEchoを販売するのはこれが初めてとなる。

そして、アマゾンがこの日明らかにしたのは、これだけにはとどまらなかった。

同社はEchoの姉妹製品である「Echo Dot(エコー・ドット)」の最新版(第2世代モデル)も併せて発表し、これを米国、英国、ドイツで販売することを明らかにした。

このEcho Dotの新モデルは、高さが3.2cm、直径8.4cm、重さ163グラム。高さが23.5cmの旗艦モデル、Amazon Echoに比べると相当小さい。

ただその分、価格を低く抑えている。しかも新モデルの価格は49.99ドルで、従来モデルの89.99ドルから大幅に値下げした。また同社はこの端末の6台セットと12台セットのパッケージも用意し、それぞれ5台、10台分の価格で販売する。

このパッケージはまるで昔あった瓶入り炭酸飲料の6本パックのようだ。だがこの売り方に、アマゾン新戦略が見えてきたと言えそうだ。

2台同時反応を防止する新機能

というのもアマゾンはこの端末を一家に一台ではなく、家のあちらこちらに置いてもらうことを想定しているからだ。

同社の説明によると、例えばEcho Dotを寝室に置き、音声命令で目覚ましアラームをセットしたり、照明を消したりする。キッチンに置けば、料理のタイマーをセットしたり、計量単位の換算などをアシスタントサービスに尋ねたりすることができる。

Echo Dotは、AI(人工知能)を使った音声アシスタントサービス「Alexa(アレクサ)」に対応する製品。Alexaでは音声命令によって、音楽を再生したり、ショッピングカートに商品を追加したり、宅配ピザを注文したりすることもできる。

アマゾンは今回の発表の前日に、Alexaで利用できるこれら、スキルと呼ぶサービスや機能の数がわずか3カ月で3倍に増え、合計3000種を超えたと発表していた。

そして今回の発表で興味深いのは、同社がEchoを家の中で複数台使う際に生じる問題に取り組んだこと。

Echo Dotの新モデルではあらかじめ、「ESP(Echo Spatial Perception=空間認識)」という機能を搭載している。

これは複数のEcho Dotが利用者の命令を聴き取った場合、利用者との距離を認識し、最も近くにあるEcho Dotだけが対応するという機能。これにより2台以上が同時に命令に応答するといった問題が解決されたと、同社は説明している。

例えば、米アップルの音声アシスタントサービス「Siri」では、合図の言葉「Hey Siri」を発すると、iPhoneとiPadが同時に反応することがあるが、Echoではそうした問題がなくなるというわけだ。

そしてアマゾンはこのESP機能を、今後数週間以内にEcho製品シリーズの全モデルに、無料のソフトウエアアップデートで提供する。その対象にはEcho Dotの初代モデルも含まれるという。

日本版は登場するのか?

このほか、Echo Dotの本体カラーはこれまでブラックのみだったが、新モデルでは新たにホワイトモデルも用意した。また旗艦モデルのAmazon Echoもこれまでブラックのみだったが、新たにホワイトモデルを追加し、同日販売を始めた。

同社は、Echoは家庭のどの部屋にも溶け込むように設計されているとしており、こうしたカラーバリエーションの拡充も、家のあちらこちらに置いてもらう戦略の一環と言えそうだ。

なお同社の説明によると、英国で発売するEchoシリーズは、Alexaも英国式になる。Alexaは英国の発音で話し、質問の答えも英国の習慣に合ったものになるという。

同社は現時点で英国、ドイツ以外の海外展開について明らかにしておらず、Echoが日本で発売されるかどうかはまったく分からない。だがアマゾンが日本で現在販売している映像配信機器「Fire TV」には日本語の音声検索機能があり、日本版Echoが登場する可能性はないとは言えない。

家の中で話すだけで、商品を注文をしたり、照明をつけたり、コーヒーを入れたり、車のドアをロックしたり、支払いをしたり、タクシーを呼んだり・・・。そんな時代が近づいているのだろうか。

JBpress:2016年9月16日号に掲載/原題「AIアシスタントは家のあちらこちらに置く時代? アマゾンがスピーカー型アシスタント端末で新戦略」)