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ウエアラブル機器を買うのはどんな人? 米消費者を対象にした意識調査で3つの要素が明らかに

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
タグ・ホイヤーが発売した腕時計型端末「コネクテッド」(写真:ロイター/アフロ)

米IDCがこのほど公表した米国の消費者を対象にした意識調査リポートによると、スマートウオッチやフィットネスバンドといったウエアラブル機器を今後購入しようと考えている人は、テクノロジー製品に慣れ親しみ、ソーシャルメディアを頻繁に利用し、服装などのスタイルに関心が高い、という傾向があるという。

テクノロジー、ソーシャル、ファッション

これは、今後半年以内にウエアラブル機器を購入する予定の消費者1500人を対象に調査を行ったもの。

これらウエアラブルの購入意向者は、朝一番にスマートフォンをチェックしたり(76%)、テクノロジーは自分の生活に大きな役割を果たしていると考えていたり(69%)するなど、テクノロジー製品を日々の生活で使いこなしている人が多いという。

またウエアラブル購入意向者の87%がフェイスブックを利用している。その62%が毎日1回〜数回、29%が1時間ごとにフェイスブックをチェックしている。

さらに購入意向者の半数以上(54%)が、フェイスブックなどのソーシャルメディアからしばらく離れると不安な気持になる、いわゆる「FOMO(fear of missing out)」を理解できるという。

このほか81%が「自分の身なりについて意識している」と回答しており、77%が「衣服の着こなしは自分にとって重要」と考えている。

「服装は自分が誰であるかを表現する手段」という人は66%、「身に着けているアクセサリー(眼鏡、腕時計、宝飾品)は自分について何かしらを表現している」という人も63%おり、ウエアラブルの購入意向者は、ファッションに敏感な人も多いという。

IDCは、これら(1)「テクノロジー」(2)「ソーシャル(社交)」(3)「ファッション」の3つに関心のある消費者が今後、ウエアラブルの普及を牽引していくと予測している。

美的要素が重要に

またこれらの人は「ウエアラブル技術はわくわくする」(74%の回答)、「ウエアラブルはテクノロジー業界の次ぎの大型商品」(同71%)、「ウエアラブルは日々の生活にプラスの影響を与える」(同65%)と答えるなど、ウエアラブルに対して非常に楽観的な考えを持っていることも分かったという。

ただ、こうした人々は実際の購入になると、その行動を躊躇する傾向があり、このことはメーカー側がまだ機能性とファッション性を兼ね備えた理想の製品を提供できていないことを意味しているとIDCは指摘している。

これらの人々がファッションなどのスタイルに敏感であることを考えると、メーカーは製品の美的要素を重視する必要があり、恐らくは機能よりもデザインに注力した方がよいかもしれないと、IDCのアナリストは述べている。

3桁成長達成したウエアラブル市場

なお、IDCが先頃公表したリポートによると、昨年10〜12月におけるこれらウエアラブル機器の世界出荷台数は2740万台となり、1年前から126.9%増加した。また昨年1年間の出荷台数は7810万台で、こちらは前年から171.6%増加した。

こうした3桁成長はウエアラブル機器市場に対するユーザーとメーカー双方の関心の高まりを示しており、とりわけフィットネストラッカーと「Apple Watch」の人気の高まりが市場成長を後押ししたと、IDCは分析している。

昨年10〜12月におけるメーカー別出荷台数を見ると、米フィットビット(Fitbit)が810万台が最も多く、これに米アップルが410万台で次いだ。

3位は中国シャオミ(小米科技)の270万台で、このあと韓国サムスン電子の130万台、米ガーミン(Garmin)の100万台と続いた。

今回のIDCの意識調査リポートでは、ウエアラブル機器購入意向者の好みのブランドは機器の種類によって異なるとも報告している。

例えば、スマートウオッチではアップルの人気が52%と最も高く、これにサムスンが27%で次いだ。一方でフィットネストラッカーの人気度は、フィットビット(37%)、ナイキ(19%)、ガーミン(7%)の順。

また眼鏡型機器/仮想・拡張現実ヘッドセットの分野では、グーグルが36%でトップとなり、これにサムスンの18%、マイクロソフトの13%が続く。

このほかスポーツウエアに取り付けるタイプのウエアラブルは、ナイキ(40%)、アディダス(13%)、ニューバランス(12%)の順となった。

JBpress:2016年3月3日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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