ついに始まったアマゾンの自動注文サービス、プリンターや洗濯機が消耗品を購入する「家電コマース」開始

米アマゾン物流センター ポーランド ブロツワフ(写真:ロイター/アフロ)

米アマゾン・ドットコムは1月20日、かねて明らかにしていた新サービス「Dash Replenishment Service(DRS)」を始めると発表した。

まずはブラザーのプリンターで

このDRSは直訳すると「Dash補充サービス」。同社には「Dash Button(ダッシュボタン)」という商品の再注文が簡単に行える消しゴム大の機器がある。

これは、機器の前面にあるボタンを1回押すと、洗剤やひげそり刃といった消耗品をアマゾンに注文できるというものだが、DRSはこの仕組みを利用している。

ただし、利用者がボタンを押すことなく注文が完了するという点がDRSの特徴だ。

サービスに対応するプリンターや洗濯機にはそれぞれ消耗品の残量や使用期限を感知するセンサーなどが組み込まれており、インクや洗剤などの残量が少なくなると、アマゾンのeコマースサイトにそれらを自動注文する。

アマゾンの今回の発表によると、ブラザー工業のプリンターでDRSが直ちに利用できるほか、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の洗濯機と、韓国フィロシスの血糖自己測定器でも1月末までに利用できるようになる。

このうち、ブラザー工業のプリンターや複合機は45以上のモデルがDRSに対応しているという。これらの製品はすでに発売されており、購入済みの人は、ブラザー工業のウエブサイトでサービス登録し、機器の設定を行えば利用できるようになる。

これによりカラープリンターのインクカートリッジやレーザープリンターのトナーカートリッジが自動注文できるようになる。

また、GEの洗濯機は洗剤を洗濯量に応じて自動投入する機能「SmartDispense」があり、これとDRSが連動してアマゾンに洗剤を自動注文する。こちらは専用のモバイルアプリであらかじめ注文数などを設定しておく。

このほかフィロシスが「Gmate」ブランドで販売している、スマートフォンと接続して使う血糖自己測定器は、採血のためのランセット針と測定センサー(試験紙)を自動注文するという。

業界の垣根越えてパートナー拡大

アマゾンがこのDRSを発表したのは昨年4月。

それ以降、同サービスのパートナー企業に、韓国サムスン電子(プリンター)や、独ブリタ(浄水器)、米ワールプール(洗濯機・乾燥機)、米シールドエアー(ハンドソープディスペンサー)、米オーガストホーム(電子錠)、米オーブ(ペット用食器)などが加わった。

今後は、交換時期が来るとフィルターを注文するポット型浄水器や、石けん液を注文するハンドソープディスペンサー、交換電池を注文するスマート電子錠、ドッグフードを注文する犬用フードボウルなどが登場すると、アマゾンは説明している。

また同社によると、新たに米ゴージョーインダストリーズが「Purell」ブランドで販売するハンドソープ/消毒用ジェルディスペンサーと、ワールプールの食器洗い機もDRSに対応するという。

このほか同社は、これまで一部の企業だけに公開していたこのDRSの仕組みを一般公開したことも明らかにした。

これにより大企業に限らず、趣味で機器を開発する人など、幅広い技術者がこのサービスの仕組みを利用できるようになる。

アマゾンが機器メーカーに代わり、認証、受注、決済、カスタマーサービス、配送を行うため、メーカーは自社でシステムを構築する必要がないと、アマゾンは説明している。

なおこの仕組みについて、アマゾンのデバイス部門バイスプレジデントは昨年、「顧客は消耗品の注文を機器に任せればよく、日常生活をスムーズにできる。メーカーは自社製品に再注文の機能を容易に組み込むことができ、差別化した商品を顧客に提供できる」と話していた。

「家電コマース」本格始動

同社は、顧客がスマートフォンやパソコンを使うことなく、注文できるこうした仕組みを広く普及させたい考えで、前述の「Dash Button」や、音声アシスタント端末「Amazon Echo(エコー)」もその戦略の一環と言われている。

今回のアマゾンの動きについて一部の米メディアは、「アマゾンでは“eコマース”ならぬ“アプライアンス(家電)コマース”が本格始動した」と報じている。

JBpress:2016年1月21日号に掲載)