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「iPhone」欧州や中国でAndroidのシェア奪う、6/6 Plus効果世界各地で

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー

先頃、米国の市場調査会社IDCが今年1〜3月期における「iPhone」の好調な販売は主に中国市場がもたらしたと報告していたが、別の調査会社の英カンター・ワールドパネルが5月6日に公表した最新リポートによると、iPhoneは欧州市場でも好調に推移しているという。

「iPhone 6」効果、欧州市場にも

同社よると、今年1〜3月期の欧州5カ国(英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの合計)におけるiPhoneの販売台数シェアは1年前から1.8ポイント増加した。その一方でAndroidは同3.1ポイント低下している。

欧州は依然としてAndroidが圧倒的に強い市場。例えば昨年1〜3月期におけるAndroidのシェアは71.5%だった。

これに対しiPhoneのシェアは18.6%。だが昨年9月に発売した6/6 Plusの効果でiPhoneのシェアは拡大、今年1〜3月期も20%の水準を維持している。

カンター・ワールドパネルによると、今年1〜3月期に欧州で新たにiPhoneを購入した人のうち、32.4%がAndroidからの買い替えだった。iPhoneのシェアはドイツ、英国、イタリアで拡大しており、これらの国ではAndroidのシェアが低下しているという。

これについて、米シーネットの記事は、これまで大型スマートフォンを必要とし、Android端末を購入していた顧客が、6/6 Plusの登場によってiPhoneを選ぶようになったと報じている。

中国のiPhone販売、ついに米国上回る

一方、カンター・ワールドパネルも中国市場の影響力について報告している。同社によると今年1〜3月期におけるiPhoneの中国における販売台数シェアは1年前から9.2ポイント増え、26.1%となった。

これに対しAndroidは同8.0ポイント減の72.0%。中国も欧州同様Androidが強い市場ではあるが、ここ最近のiPhoneには目覚ましいものがあるという。

これまでアップルにとって最大の市場は米国だった。だが今や中国におけるiPhoneの販売台数は米国のそれを上回っていると、カンター・ワールドパネルは報告している。

やはり中国はアップルにとって重要な市場

これに先立ちアップルが公表した今年1〜3月期の地域別売上高は、米大陸が213億1600万ドルで最も多く、これに中国(香港・台湾を含む)の168億2300万ドル、欧州の122億400万ドルと続いた。

これは、同社が1〜3月期に販売したすべての製品とサービスの合計で、iPhoneのほかiPadやパソコン「Mac」も含まれる。

つまりアップルは各製品の地域別販売台数を公表しておらず、四半期中に中国でどれだけのiPhoneが販売されたのかは分からない。だが、今やiPhoneは同社全売上高の69.4%を占める主力製品。中国でも売り上げの大半をiPhoneが占めたことは容易に想像できる。

なお1〜3月期の地域別売上高が10〜12月期から増加したのは中国のみ。

欧米などの市場で売上高が最も伸びるのは年末商戦のある10〜12月期。つまり通常1〜3月期の売上高は10〜12月期に比べ減少する。ところが中国では2月の春節(旧正月)に消費が大きく伸びるという特徴がある。

もっともアップルの中国における昨年10〜12月期の売上高は161億4400万ドルとなっており、これは今年1〜3月期とほぼ同じ。

またそれぞれ、1年前に比べ70%増という高い伸びを達成している。こうして見ると、中国では1年の半分が年末商戦時期と言えるのかもしれない。

JBpress:2015年5月8日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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