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北方領土に行ってみた(補遺)

小泉悠安全保障アナリスト

「北方領土に行ってみた(1)」「北方領土に行ってみた(2)」の補遺を以下に記しておきたい。

上記2つの記事では、北方領土がもう決して貧しくないということを書いたが、かといって日本やモスクワに比肩しうるほど豊かになったわけではない。

最近、根室を訪れた北方領土からのビザ無し訪問団(筆者の北方領土訪問とは逆のパターン)の中には、市内のドラッグストアで大量に医薬品を買っていく人々も居たという。

まだ決してモノが溢れているという状況ではないことは一応、確認しておきたい。

特に北方領土周辺は天候が厳しいため、少し時化るだけで船や航空機による物資の補給は簡単に途絶えてしまう。

択捉島内では運転手からこんな話も聴いた。

島内を走っている車のほぼ100%が日本製なのは何故か?という話になったのだが、運転手曰く、「島内には車の整備工場が無いんだ。一度壊れるとそれでお終いなので、皆日本製を買うのさ」という。

さらに島内にはガソリンスタンドさえない。

「ではどうやってガソリン(というか軽油)を入れるのか?」と訊くと、「そこは軍隊からちょっとねえへへへ」ということで、どうも島内の車は軍からの横流し軽油で走っているらしかった。

択捉島では一度、ガソリンスタンドの建設が始まったとも伝えられたが、どうも計画は進んでいないらしい。

最後に、島での写真をもう少し紹介してみる。

北方領土の人々の雰囲気を感じ取っていただければ幸いである。

国後島の「ムネオハウス」前に立つ筆者
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民族衣装と「パンと塩」のロシア式歓迎。こうした歓迎は至る所で受けた
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好評を頂いた「スマホ教会」の内部。連邦予算で作っただけあり、施工は抜群によかった
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海沿いに立つ粗末な教会。貧しい時代はここが島民達の心の拠り所になったのだろう
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大手銀行ズベルバンクの支店。筆者もお金を下ろしてみたかったが怒られたので辞めた
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ロシアでたまに出会う異常に善良なおじいさん。国後島にて
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「コンニチワ」と日本語で挨拶してくれた二人組
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国後島の少年達。なかなか良い面構えだったので一枚撮らせてもらった
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変顔勝負中
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択捉レイドヴォの小学校でゆるキャラに遭遇。我々はレイドンと名付けた。ユルい
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安全保障アナリスト

早稲田大学大学院修了後、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員、国会図書館調査員、未来工学研究所研究員などを経て、現在は東京大学先端科学技術研究センター特任助教。主著に『現代ロシアの軍事戦略』(筑摩書房)、『帝国ロシアの地政学』(東京堂出版)、『軍事大国ロシア』(作品社)がある。

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