コロナ破綻を食い止めろ! 中小企業支援のカギは「売上増」と「モチベーションアップ」

(写真:アフロ)

 新型コロナウイルス関連の経営破綻がじわじわと広がっている。東京商工リサーチによれば、1000万円以上の負債を抱えて破綻した企業は2月からの累計で584件(負債1000万円未満を含めると613件)にのぼる。単月で最多だった6月(103件)以降はいったん下回ったが、9月、10月になり100件ペースで推移しているという。

 政府による大規模な資金繰り支援がなされながらも状況が悪化しているなか、中小企業がどう生き抜いていくか? カギを握るのは知恵とアイデアをしぼった「売上増」にある。そしてそれを実現させる大きな要素として「モチベーションのアップ」が欠かせない。

●リーマンショックに学ぶべきこと

 全国信用保証協会連合会によれば、今年8月における保証債務残高は35兆円。前年比で70%もの増加となり、中小企業・小模事業者の借入負担は相当重くなっていると考えられる。

 一方、それによりコロナ禍で経済活動が停滞するなかでも、倒産件数が過去30年で最少にとどまっていて(東京商工リサーチ10月8日発表)、政府の施策は効を奏したともいえる。

 だが、ここで想起すべきは、リーマンショック時に何が起きたかだ。当時、政府は「金融円滑化法」を発令し、中小企業・小規模事業者を全力で支えた。これは企業に円滑に資金供給をしようとする背景のもと、貸し出しに対して信用保証協会が100%保証するというもので、金融機関側にとってみると、仮に企業側で返済できなかったとしてもノーリスクとなるため、ある意味、躊躇することなく資金提供ができた。

 だがその後、信用保証協会による保証が100%から80%に切り替えられたことで、金融機関による貸し渋りが起き、結果、資金繰りに窮する企業が続出したのである。

 今回もそうした事態は容易に推測できる。ではそれを回避するため、緊急に考え実行すべきは何か? やはり第一優先順としては、下がってしまった売り上げを上げることに尽きる。

●売上増につながる支援が必須

 実は、リーマンショック当時、行政による従来の産業支援において、売上増に特化した支援というのはほぼなかった。そうしたなかで私は、知恵とアイデアによる売上増に特化した公的産業支援モデルを推進してきた。それが普遍的で再現性ある地方創生モデルだとして多くの支持を得るようになり、現在全国20カ所以上の自治体で展開されている。

 ただ、今回の場合は、支援側にとってもリーマンショック時をはるかに超える厳しさがある。感染者数の推移と政府の方針、メディアの報道のされ方にともなう市民感情、消費者のマインドと行動の変化が複雑に重なり合っているからだ。とくにサービス業関係はこうした兼ね合いによって支援策も随分変わってきてしまう。つまり、それに毎度瞬時に対応して結果を上げるという、じつに高度なサポート力が要されるのだ。

 しかし、こうした難局においても前述の公的支援施設では、多くの効果を上げ続けている。

●インバウンド外に活路を見出した観光地

 インバウンド需要を頼みとしてきた企業や業界が大打撃を受けるなか、新たな活路を見出したのは、中国人観光客を中心に賑わっていた北海道の阿寒湖温泉だ。周辺ホテル、土産店、飲食店の9割が前年比50%を超える売り上げ低下というなか、危機感を募らせた地元商工会は、釧路市ビジネスサポートセンター(k-Biz)へ相談に訪れた。

 そこで浮上したのが、地元出身の人気漫画家「刃牙シリーズ」の作者である板垣恵介氏の存在だった。地元商工会青年部から板垣氏に協力を仰いだところ、快諾。これにより、阿寒湖温泉と「刃牙」のコラボが実現。8月13日から9月末に渡って開催された「バキ・阿寒湖温泉応援プロジェクト特別原画展」では、板垣氏が現地入りしてのサイン会も行われるなどし、全国から続々と「刃牙」ファンが訪れた。なお、開催にあたっては、原画をもとにした限定「刃牙クリアファイル」がリターンで手に入るクラウドファンディングで資金調達がなされた。k-Bizでは、こうした催しをSNSでさらに盛り上げようと、各店舗にSNS活用方法の指導に出向くなど、細やかな支援も行っている。

 これらの模様は全国放送でも放映され、大きな話題を呼んだ。今後は特別原画展で寄贈されたイラストの版権などを活用した観光振興を本格化する予定で、より期待が高まる。

●地域全体で盛り上がれ

 秋田県湯沢市といえば菅総理の故郷だが、全国的に注目が集まるなか特徴的だったのは、これを記念した地元商店街による多様な商品、サービスの展開だった。

 実は、早い段階で湯沢市ビジネス支援センター(ゆざわ-Biz)では、新総理誕生を千載一遇のチャンスと捉え、関連商品・サービスの開発を考えていた。その際私は、センター長の藤田敬太氏に、「1、2店舗だけではなく、みんなで盛り上げるかたちにして、まち全体が盛りあがっているというふうにしたほうがいい」と伝えた。それこそが地域創生につながるからだ。とはいえ、まさに短期決戦である。だが、同センターのサポート関連からは、総裁選のタイミングで10数種類もの商品・サービスが実現化。全国放送でも多くが紹介された。結果、各地から問い合わせが寄せられ、湯沢市に実際に足を運ぶ人も多くいた。

 じつは、阿寒湖温泉の事例ともども、これら一連のプロジェクトにはさらに大きな狙いがある。それは、事業者側に「全国から注目されている自分たち」を認識してもらうことだ。これにより士気が上がり、自分たちも「やればできる」と思えるようになる。要は、このムーブメントが去ったとしても、次なる挑戦マインドにつながっていくわけだ。いまはこれがとても重要なことといえる。つまり、売り上げを上げることはもちろん、やはりモチベーションを上げてがんばらなければならないということだ。

 この2つのチャレンジは、こういう時代に求められる視点とは何かということに関し、大いに示唆に富んだ事例といえるだろう。

●参考

阿寒湖応援プロジェクト バキ原画展(k-Biz)

http://k-biz.blog.jp/archives/24809174.html

地元湯沢市の菅さん「おめでとう」特別商品・サービスまとめ(ゆざわ-Biz)

https://is.gd/6hbstt