秘密保護法は、継続審議、廃案へ!

特定秘密保護法は、国家が私たちの知る権利、原論表現の自由を奪い、人間不信の社会をつくるものです。廃案にする以外にありません。少なくとも継続審議にして議論すべきです。

この1週間、反対運動は急速に盛り上がって来ましたが、選挙の結果が招いた翼賛議会はひたすら「結論ありき」の方向に突き進んでいます。

きのう24日(日)、東京の文京シビックセンターでジャーナリスト、学者、市民によるシンポジウムがありました。夜というのに400人近い人々が集まり、会場は満杯でした。参加者の発言を私の責任で短くまとめて紹介します。複数回の発言もひとつにしています。

田原総一郎氏(キャスター)

「多くの人が中身を知らないうちに法案を通そうとしている。まず秘密の定義がない。大臣が秘密といえば「秘密」となる。結局官僚が決めることになる。次に監視機関がない。さらに記録を取らない。60年で公開というが基準がない。また知る権利、報道に自由はあるというが『悪質』な取材はダメとしている。考えてみれば通常の取材はみな『悪質』だ。教唆扇動、脅迫など口実はいくらでもつけられる。これまで秘密保護法がなくても、沖縄返還の密約に関する西山事件が起きている」

「今度の金曜日には、『朝までテレビ』でがんばる」

吉岡忍氏(作家)

「日本ペンクラブで抗議声明を出しているが、世界の150余のペンセンターに向けて発信した。アメリカがイラク、アフガン、シリアで行き詰まり、欧州はアメリカと一線を画し、基地、金など日本だけが従う構図になっている。その中で日米軍事関係を緊密にする。それが法案の目的だ。これに対して国際ペン会長名で、『日本政府の特定秘密保護法案に対する声明』が発せられた。『民主主義は、市民と、市民の表現の自由と、政府の透明性の3つで成り立ち、それは万国共通の原則』というものだ。アメリカのエルズバーグ事件は、ベトナム戦争がでっち上げで始まったことを暴いたことにより、スパイ法で関係者が起訴された事件である。結果は無罪になった。日本ではこのような逆転ホームランはない。政府にNOというメディアは少なくなる」。「戦後民主主義の中で、国家、権力について考えてこなかった。選挙で政権を変えられるのが民主主義だ。しかし、国策の一貫性の維持、国益がまかり通る。国家が前面に出ることに抵抗感がない」

「法案が施行されれば、密告が起きる。『テロ防止』は何にでも適用できる。3・11以降、水や電気が原発の生命線であることが分かった。女川原発が20km以上離れた北上川からパイプで水を引いている。パイプのある地域はテロ警戒区域になるだろう。パイプのルートなど調べたら『怪しい、何してる?』となる。地域社会で密告が奨励される。人間不信で社会は活力を失う」

青木理氏(ジャーナリスト)

「秘密保護法を本当に欲しがっているのは警察官僚だ。法案の事務局は内閣情報調査室で、ここは警備・公安警察の出島である。法案は警察官僚にいちばん使いやすい形である。官僚トップの警察庁長官が秘密指定できる。テロ対策としてすべて秘密にしかねない。自動車ナンバー読み取りのN-システム関連はすでに秘密になっている。秘密の対象は「防衛、外交」というのは建前で、治安維持が目的。治安維持法と同じである」

「酒癖、女癖、借金などまで調べるという特定秘密の取り扱い資格。それができるのは公安警察しかない。テロ対策で検疫を広げることに目的がある」

田島泰彦氏(上智大教授)

「80年代のスパイ防止法は、メディアと法曹界は反対運動にとりくんだ。この時は防衛秘密だけだったが、今回の秘密保護法案では、まず『スパイ』、『テロ防止』が加わった。公共の安全と秩序の維持を名目に、公安警察の役割が拡大しようとしている。次に『適正評価』によって人を選別し秘密を管理する。内部告発を考えているかと、心の内までチェックする。さらに対米従属、軍事一体化によって、情報共有の要素が加わった。軍事情報だけではなく、安全保障と関係が深い食料、燃料も秘密保護の視野に入れなければならなくなった」。

香山リカ氏(精神科医)

「法案審議入りに時点で目的を一部達成しているのではないか。多くの人が秘密を洩らすのはヤバいと認識した。知ろうとするのはヤバいという自己規制、思考停止につながる。60年代に『沈黙のらせん』で指摘されたように、少数派は勝手に口をつぐんで、最終的にはファシズムに向かう。いま大勢は、らせん階段を上っているのではないか」

雨宮処凛氏(作家)

「市民運動を取材して書くことを仕事にしている。活動家と話をすれば共謀、書けば教唆扇動になっては、仕事ができず自分が否定される。市民運動は大きな影響を受けることになる」

佐高信氏(評論家)

「安倍首相は、日本の北朝鮮化を狙っている。維新・みんなの修正協議は『偽装修正』である。公明党と、内閣の森担当大臣、谷垣法相を揺さぶることだ。法案が通過しても戦いは続く」

野中章弘氏(アジアプレス代表)

「国家が『国家』をつくる流れの中にある。アメリカは独立以来250回の戦争をしている。日米同盟を基軸にするとは、日本という国がその国と将来を共にすることである。戦争には助走の期間があるが、今は第二次大戦前の1930年代に似ている。戦争をするとき国はウソをつく。イラク戦争では、大量破壊兵器を保有、テロリストを支援しているとした。どちらもウソだった。まず保護法案に対する世論の反発が落ちている。体制に順応する傾向が強い。次にジャーナリズムの反発も落ちている。コンプライアンス(法令遵守)よりも報道倫理を守るべきだ。報道倫理を守れるかがジャーナリズムの質を規定する。反発の弱さは、教育とメディアをコントロールしてきた結果で、今は危険水域に入っている」

「沖縄、横須賀、厚木基地を監視している市民グループがいるが、全員逮捕されることにもなるだろう。一般の人が権力をチェックできなくなる。仕事を失うリスクを考えて何もできなくなる」

清水勉氏(弁護士)

「反対のビラを配っても受け取らない人が多い。社会の関心が高いとは言えない。政府が一定の秘密を持つことはある。しかし、特定秘密法案は紙ベースで電子データ時代に遅れている。アメリカは日本のルーズな管理を問題にしているのであって、人間不信を強める法律をつくるのは恥ずかしい。アメリカ中心で主体性がない。『テロの防止』も、国際テロが日本を狙うことはあり得ず、住民運動、市民運動が対象でしかない。法律は他国がつくるからつくるというものではない」。

金平茂紀氏(キャスター)スカイプ参加

「亡くなった筑紫さんが、『多事争論』というコーナーを持っていたが、秘密保護を『多事封論』と批判していた。シニシズム(冷笑的に振る舞うこと)に陥ってはならない」

森達也氏(作家)スカイプ参加

「特定秘密保護法に対して、メディアの批判は弱い。週刊誌、テレビは論外の状況だ。法案を通してしまって、それから戦うしかない」

堀潤氏(ジャーナリスト)スカイプ参加

「自己規制が広がる。しかし、報道マンだとだという矜持を持って仕事をしよう」

米倉外昭氏(新聞労連副委員長)

「有識者会議で結論が出てから問題提起してきた。しかし十分な動きはできなかった。6月1日の機関誌で『取材記者 初の逮捕』というパロディーをだした。労組の受け取り方はいろいろだった。このパロディーは恐れではなく予想になった。12月6日に集会を計画中である」

岡本厚氏(岩波書店)

「改憲を『知らなううちに静かに進めるのがいい』とした麻生発言そのままの法案だ。集団的自衛権の関する解釈改憲のように憲法を殺してしまう一連の動き。大規模な抗議行動が必要」

土肥信雄氏(元都立三鷹高校校長)

「秘密保護法が実施された場合の危惧を、実体験から話す。東京都の教員の業績評価にあたり、労使は校長が『絶対評価』をするという実施要領に合意した。ところが校長会で20%以上をABCD評価のCDにするという『相対評価』にするという。実施要領違反だとしてマスコミに話したところ『守秘義務違反』とされ、3回も事情聴取をされた。違反した方が処罰されずに、異議申し立てをした方が処罰される。第三者機関に訴えたが即刻脚下になった。こんなことがいくらでも起きるようになる」

特定秘密保護法案について、在京テレビでは、TBS、テレビ朝日が比較的良く取り上げています。比較的取り上げないのは、NTV、フジテレビです。

NHKは政局(要するに、賛成と反対の議員の数の推移)を報道していますが、法案の問題点については十分とは言えません。

OBとして、いささか情けなく、恥ずかしく、『みなさまのNHK』の看板が泣いているように思います。

NHKの影響力は大きく、それだけにすでに国会で承認済みの安倍フレンド(複数)を経営委員会の送り込んだ人事は、NHKの報道操作が念頭にないはずはありません。

新聞では、東京、毎日、朝日が反対を表明していますが、読売、産経は違う姿勢です。テレビの系列局の方針に影響しています。

知る権利と言論表現の自由を損なう特定秘密保護法に対し、メディアの足並みはバラバラなのです。

特定秘密保護法案が施行されれば、フリーの立場で仕事をしているジャーナリストが最初に仕事の制約を受けることになるでしょう。ところがフリーのジャーナリストの活躍する場だった週刊誌は、かつての輝きを失いつつあるように見えます。

そうは言っても、ここで総崩れになるわけにはいきません。その自覚と覚悟をもって仕事をしたいものです。