最稼働申請 規制委を孤立無援にしないために        

電力各社が再稼働申請を急ぐのは経営上の理由であることを今や隠そうともしていません。

安全よりも経済利益優先。なりふり構わぬ現政権と経済界の協働は予想される参議院選挙の大勝の後、ますます露骨になって行くでしょう。

電力会社が運転しない原発を抱えているのは、慶応大学の金子勝教授が指摘しているように銀行が不良債権に苦しんでいたのと同じ状況です。

原発(=不良債権)を切り離し、電力会社を分割して新会社とし、原発(=不良債権)処理はべつの新会社にまかせるというのが、いちばん合理的な道筋と思います。

今日7月8日、10基の原発の最稼働申請が行われました。メディアは審査には6か月はかかると報じています。

規制委員会もその意向でしょう、とりあえず今は。

しかし選挙後になれば、前のめりに再稼働するための圧力が高まることは必至で、規制委員会がどこまで責任ある審査ができるかいささか心配です。

委員会人事を通じての干渉がないとはいえません。規制委員会が孤立無援になる可能性すらあります。

自動車にアクセルとブレーキが欠かせないように、組織には互いにチェックし合う仕組みが必要です。

政治も例外ではありません。

「三権分立」は、政治にチェックの仕組みを働かせるために民主主義の歴史の中で生まれた仕組みです。

言うまでもなく、日本は三権分立を建前としています。

ところが日本では、三権、すなわち「行政=政府・事務局は省庁、立法=国会、司法=裁判所」のうち、行政の力が圧倒的に強いという、いささか均衡を欠いた三権分立なのが現状です。

規制委員会も行政組織のひとつです。ということは、規制委員会が本来の任務を果たしているかをチェックするのは国会なのです。

ところが、ここで再び「ところが」を入れなければならないことも実は日本の現状ですが、国会には行政をチェックする能力とやる気に決定的に欠けています。

与党は政府を数の力で支える存在でしかありません。野党は数で負けている限りなにもできないのです。

福島原発事故後に国会は超党派の議員の協力で事故調査委員会を設置し、調査報告書をまとめました。

私は、国会事故調を「史上初めて国会が行政をチェックする立場から独立に事故調査を行おうとした」ことで評価しました。

短期間でまとめた調査報告書は国会に多くの宿題を出していますが、民主党から自民党への政権交代のどさくさもあって、事故調査報告書は未だに放置され、たな晒しのまま忘れられようとしています。

今となっては民主党政権を揺さぶるための小道具でしかなかったのかなという気もします。

それでも、規制委員会が本来の仕事を果たすかどうか。「三権分立」のたてまえに忠実になれば、それをチェックするのはやはり国会の力です。国会開会中に委員会で質問する程度では不十分です。

事故調を立ち上げた超党派議員団には、党派を超えて、国会を代表して規制委員会をチェックする中核になってほしいものです。