北朝鮮の教化所(刑務所)は暴力が蔓延し、衛生状態や栄養状態も極めて悪く、受刑中に命を落とす人が少なくない。

 受刑者は、家族からの食べ物の差し入れを受け取り、辛うじて延命している。しかし、コロナ禍で国内移動の制限がいっそう厳しくなっている今では、それも難しく、多くの受刑者が飢餓に苦しんでいることは想像に難くない。

 そんな彼らに驚きのニュースが飛び込んできた。

(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態

 デイリーNK内部情報筋によると、2月16日(光明星節、金正日総書記の生誕記念日)に全国の教化所に朝食用に白米を無条件で供給せよとの指示が下された。また、条件が許せば、昼食も白米を支給するように付け加えられている。

 今年の元日にも、白米に豚肉を供給するように指示が下され、実際に配給されたと別の情報筋が伝えている。横流しや物々交換を防ぐために、違反者は厳罰に処すと警告を発し、食べ終わるまで監視が行われるほどの徹底ぶりだった。さらに元日当日には休息やテレビ視聴が認められ、収監者の間から驚きの声が上がるほどだったという。

 ただ、この時はコメ不足が深刻で、ご飯の量が少なかったと伝えられている。情報筋によると、支給されたコメは130グラムで茶碗1杯ほど。それも水でふやかしてかさを増したものだった。韓流取り締まりの強化で受刑者が急増する中、全員に行き渡らせるためには致し方ないやり方だったようだ。

 これを受けて当局は、光明星節のコメ供給が潤滑に行われるよう、教化所に対して2月初めまでに精米したコメを調達するよう指示が下された。

 今回も前回も、金正恩氏が掲げる「人民大衆第一主義」を宣伝する意図があったものと思われる。また、金日成主席生誕110年、金正日総書記生誕80年という整周年(5や10で割り切れる年で北朝鮮で重要視される)である今年を「革命史大慶事の年」と表現し、特別な意味付けがなされていることとも関係していると思われる。

 4月15日の太陽節(金日成氏の生誕記念日)にも同様の給食が行われるものと見られている。

 ちなみにコメと豚肉の供給対象となるのは、教化所だけで、管理所(政治犯収容所)の収監者は排除されている可能性が高い。

 北朝鮮では、有罪判決を受けて教化所に収監されると公民権が剥奪されるが、刑期を終えて出所すれば公民権を回復する。「生かしておく価値がある者」だけを優遇し、コメと豚肉を配給することで忠誠心を高めるのが、当局の目論見だろう。一方、全員ではないものの、社会に復帰する可能性のない管理所の収監者には、そのような扱いは要らないということだ。