北朝鮮当局は最近、非社会主義・反社会主義行為の取り締まりに血道を上げている。当局が好ましくないとみなした行為にレッテルを貼り、死刑を含めた厳しい罰を与えることで、「社会主義の楽園」とやらを打ち立てようとするものだ。

 その一環として、「資本主義思想と退廃的なブルジョア生活文化を革命的な思想攻勢と革命独裁の長剣で無慈悲に相当しよう」と題された学習要綱が作られ、国民に対する思想教育に使われていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

 RFAによれば、この学習要綱で特に警告の対象になっているのは、違法薬物と性録画物(アダルトビデオ)の流布などの性不良行為だ。

 秘密警察である国家保衛省は今年1月から、覚せい剤など違法薬物の乱用と「性不良行為」に対する大々的な取り締まりを行っている。平安北道(ピョンアンブクト)の住民がRFAに語ったところでは、すでに道内だけで3人に死刑判決が下されているという。

 ちなみにこれまで、薬物や性びん乱行為については、社会安全省(警察)と検察所が調査を行っていた。このように国家保衛省が動くのは今回が初めてだとされる。おそらくは、昨年12月に反動的思想・文化排撃法が制定されたことで、同法を根拠に国家保衛省が動けるようになったのだろう。

 それにしても、性不良行為で死刑判決というのは、近年ではあまり見られなかったほどの厳しさだ。確かに以前は、アダルトビデオに出演した女優が処刑されるなどといった出来事もあった。

(参考記事:【写真】美人女優ピョン・ミヒャンの公開処刑で幕を閉じた「禁断の映画」摘発の内幕

 しかし、少なくともここ数年間は、そのような事例は見られなかった。

 何かきっかけとなる事件でもあったかと振り返ってみて思い浮かんだのが、昨年7月に摘発された「女子大生クラブ」事件だ。

 平壌にある総合レジャー施設「紋繍院(ムンスウォン)」を舞台に行われていた組織売春事件で、首謀者6人が公開処刑されている。

 金正恩総書記は、自らが目をかける平壌音楽舞踊大学や平壌演劇映画大学の学生たちが売春させられていたと知って激怒、自ら銃殺を指示したとRFAは伝えている。

 もっとも、この事件ひとつが反動的思想・文化排撃法制定のきっかけとは言い切れないが、金正恩氏が風紀の乱れに危機感を持ち、徹底した取り締まりを命じた可能性は高い。国家保衛省の取り締まりは、今後もしばらく続くだろう。