昨年1月からのコロナ鎖国で、極度の食糧難に陥っている北朝鮮。

金正恩総書記の特別命令で、軍糧米を民間人に有償配給する事態となっているが、量が少なく「焼け石に水」といった状況だ。そんな中で治安が極度に悪化、覆面の武装集団が金持ちの家を襲撃していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、コロナ鎖国の経済的困窮で強盗事件が多発し、少しでもカネがあるとの噂が広がった家に、棍棒などの武器を手に、覆面をかぶった強盗が押し入る事件が多発している。

北朝鮮では1990年代の大飢饉「苦難の行軍」に際しても、治安が極度に悪化したとされる。

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先月中旬、清津(チョンジン)市の浦港(ポハン)区域では、金持ちとの噂があるトンジュ(金主、進行富裕層)の家に覆面強盗が押し入り、カネと貴重品を盗んで逃げる事件が起きた。水南(スナム)区域では、金持ちと言われていた司法機関の幹部の家にも、覆面強盗が押し入る事件が起きた。

先月末から今月13日の時点まで、両区域内だけでも30件の強盗事件が発生し、トンジュや幹部は、体格がよく力の強い若い男性に賃金を支払い、住み込みの用心棒として雇っている。水南区域に住む情報筋の知人も、強盗の襲来を恐れ、若い男性を雇って住み込ませ、家の警備に当たらせているとのことだ。

司法当局は強盗、窃盗に対して理由を問わず労働教化刑(懲役刑)に処すと警告しているが、事件が減る気配は見えないと情報筋は伝えた。

治安悪化は、平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)からも伝えられている。現地の情報筋は強盗事件が多発、覆面をかぶった集団が凶器を突きつけ、金品を手当り次第奪っていくという。

「最近、わが国(北朝鮮)では、カネがある、いい暮らしをしていると噂されると、すぐに強盗のターゲットになってしまう」(情報筋)

犯人の中には、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士と思しき者も多いと情報筋は証言している。補給システムに問題があることから、兵士たちは常に飢えとの闘いを強いられており、空腹に耐えかねて基地周辺の民家や協同農場を襲撃する事件が以前から起きていたが、コロナ鎖国の食糧難の下、ついには都市部でも強盗を働くようになったようだ。

そんな状況に対して、司法機関は手をこまねいて見ているだけだ。

「コロナ前には、力のある幹部や金持ちのトンジュの家に強盗が入れば、司法機関が徹底的に捜査して犯人を追い詰めていたので、事件が多くなかったが、今では腹をすかせた人が増え、自暴自棄になって金持ちの家に押し入る人が増え、司法当局が警告を下しても意味がない」(情報筋)

極度の食糧難で、犯罪の手口が、単独犯が空き家を狙う形から、集団が金持ちの家を襲う形に変わったということだ。それも、抵抗すれば「棍棒で家の主人を殴り倒して略奪する」(情報筋)ほど凶暴化している。